1938-01-01から1年間の記事一覧
■高崎隆治編・解説『十五年戦争重要文献シリーズ第一巻 軍医官の戦場報告意見集』 1990/02/20 ISBN:9784835010465 □早尾乕雄(於上海第一兵站病院・金沢医科大学教授・予備陸軍軍医中尉)「戦場神経症並に犯罪について(1938年4月孔版印刷)」 ■岡田靖雄編・解説…
■岡田靖雄編・解説『十五年戦争極秘資料集 補巻32(全4冊)早尾乕雄[*1]「戦場心理の研究(全)」第1分冊』不二出版,2009/02/25 不二出版HP p.71-p.80 早尾乕雄「戰場心理の研究 総論 第8章 戦争と性慾」【1938/5月】⇒ id:dempax:19380531 *1:早尾乕雄はやおとらお…
吾人は戰場に馳駆する将兵の心境を観察すると到底常織[ママ]を以ては解釋に苦しむ事が少なくない. 依つて戰場にある者は尋常内地では窺ひ得ない心理状態にあるものだろうとは何人も考へる所である是を闡明するために醫學者も哲学者も論説家も爭つて研究をし…
早尾乕雄「戰場心理の研究 総論」緒言
戰場心理の研究 総論 第八章 戰争と性慾 今次変[事変?ママ]に於て目立つた軍部の副業の一つに慰安所なるものがあつた. 其の数は夥しきもので津々浦々迄行き届いたものである. 如此将兵の性慾の吐け場所を何人が考へ出したかと其の経営者に問ふたところ現文相…
「戰場心理の研究」緒言と書誌情報⇒id:dempax:19380601
『戰場心理の研究 戦場に於ける特殊現象と其対策 総論 17.』(1939/6) 飲酒と傷害 早尾乕雄 酒の力が戦闘精神の旺盛にするとか行軍力を強むるの効果があるとすれば幾何に将兵に酒を多く加給しても文句はない,然し如何なる将兵に尋ねても酒が以上の成果を挙げ…
■岡田靖雄編・解説『十五年戦争極秘資料集 補巻32(全4冊)早尾乕雄[*1]「戦場心理の研究(全)」第1分冊』不二出版,2009/02/25 不二出版HP *1:早尾乕雄はやおとらお: 國府台陸軍病院, 予備陸軍軍醫中尉, 金澤醫科大学教授【『戦場生活に於ける特異現象と其の対…
(省略)
今事変に於ける所謂戦場神経症及精神病は欧州大戦時に見たるか如く其の為めに戦闘力に影響なす迄の数に達せす,伝染病者に比すれは実に微々たるものあり. 是戦闘期間尚短きにあり 然るも長期戦の実現と共に業務閑散にして而も滞留長く是に添うへき適切なる高…
(省略します)
今事変に於ける所謂戦場神経症及精神病は欧州大戦時に見たるか如く其の為めに戦闘力に影響なす迄の数に達せす,伝染病者に比すれは実に微々たるものあり. 是戦闘期間尚短きにあり 然るも長期戦の実現と共に業務閑散にして而も滞留長く是に添うへき適切なる高…
【A】酒の調節を図ること,其の方法に種々あり左の如し[*1] (1)飲食店にて酒の販売を禁止すること (2)飲酒の量の制限飲酒時間の短縮を図ること (3)酒の加給を制限し其の量を減すること (4)酒保の名を改め酒を売らしめさること (5)最後には軍隊には酒を禁する…
左の諸項目を挙くるを得へし[*1] □悪戦苦闘の中に万死に一生を得たる優越感と功績陶酔感は超人間的意識と変し他を侮辱するに至りしこと □支那人を殺戮せる快味を未だ忘れぬために銃剣拳銃を濫用するの弊害を生せしこと □徴発の意義を誤解し掠奪と混同するに…
官憲の取締行き届かさりし頃は放火,掠奪,殺人,窃盗,強奪,強姦等と凡ゆる重犯行為思うがままに行われつつありしが取締段となると共に放火は漸次数を減らしたるを見たり. 必要上の放火よりは遊戯的放火の少からさるを見たり. 殺人行為も減少せり. 強姦したる後…
id:dempax:19380415⇒からの続き
中間者とは常人と精神病者との中間に介在なすものを総称し其の種類甚だ多く亦其の鑑別も極めて困難にして臨床家も常に苦しむ所なり. 而も社会の一般犯罪とは極めて密接なる関係を有せり 今此處には特に犯罪者と関係深き種類のみ挙げたり[*1] (A)病的虚言者 (…
犯罪者中には前科ある者も少からす初犯者と雖も詳細に鑑定せは精神的欠陥を有する者多く所謂中間者に属すへきものなり 中間者の存在は社会に及ほす影響甚大なる如く軍隊に於ても是を軽視得さる所なり. 今事変中の犯罪の模様を観て一層其の感を深らしめたり, …
今時の事変中将兵中に頻発せる犯罪事件は其の数極めて多く其の原因につきても種々講究するの要を感し命により法務部及ひ憲兵隊と連絡をとり調書,司法書類,被告人等につき調査を実施せし結果により得たる所を左に記述せんと欲す
長期に亘る過度の精神緊張は精神機能を疲労に陷らしむにより恰も長く張られたる線楽器の線の切れ易きか如く事故を起こす怖あり. 精神弛緩も亦危険を伴ひ犯罪頻発の原因となる 緊張過度は精神竝に神経病の誘因となり精神弛緩時には犯罪是れに伴へる事は今事変…
[秘] 戰場神経症竝に犯罪に就て [注: 表紙に執筆者の名はない. 中央に縦書き一行標題のみ,右上に四角い「秘」の印]
【緒言】 【1章…略】戦場神経症 【2章…略】戦場精神病に就て 【3章】戦場に於ける犯罪に就て (1)犯罪をなす兵の精神状態 (2)中間者の意義 3節以降は⇒id:dempax:19380416へ続きます (3)犯罪の種類 (4)犯罪発生の原因 (5)犯罪の豫防策 【結論】
高崎隆治編・解説『十五年戦争重要文献シリーズ第1巻 軍医官の戦場報告意見集』不二出版HP 1990/02/20 資料1:早尾乕雄『戦場神経症竝に犯罪に就て』[*1]1938/4月 タイプ打ち孔版印刷 *1:原文は片仮名,本サイトでは読者の読み易さを考慮して,というより入力し…
昭和十三年のはじめごろ当時上海派遣軍の兵站病院(福岡市高宮福海町鵜沢院長)の外科病棟に勤務していた私へ軍特務部より呼び出しが来た. 何でも婦人科医が必要であるとのことだった 当時大場鎮の激戦の跡で日夜戦傷患者の治療に忙殺されていた時ではあるしま…
金一勉編著『戦争と人間の記録 軍隊慰安婦』徳間書店,1992/02/29新装初版 [*1] 麻生徹男写真資料id:dempax:00000914 元軍医の証言 麻生徹男 *1:現代史出版会/徳間書店,1977/12/30 に「新装版へのあとがき」を追加,内容は同じ