1954-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『中央公論/緊急増刊/松川裁判特別号』73(12)No.846 巻頭言

巻頭言 志賀直哉 広津和郎君の「松川裁判」は立派な仕事になつた. 末広がりに反響が大きくなつた. 広津君の無私な誠意が人々の胸に通じ出したといふ感じである. 個人の仕事でその主張がこれ程に盛上つたといふ例はこれまでなかつたやうに思ふ. 実に稀有な事…

『中央公論/緊急増刊/松川裁判特別号』73(12)No.846 巻頭言

巻頭言 志賀直哉 広津和郎君の「松川裁判」は立派な仕事になつた. 末広がりに反響が大きくなつた. 広津君の無私な誠意が人々の胸に通じ出したといふ感じである. 個人の仕事でその主張がこれ程に盛上つたといふ例はこれまでなかつたやうに思ふ. 実に稀有な事…

志賀直哉「松川事件と広津君」

松川事件と広津君 僕は松川事件について,事件そのものを完全に知つているわけではないが,とにかく裁判官というものは,すこし暢気[のんき]といへば暢気,ややハンブル(謙虚)でないといふ感じを受ける. たとへば,広津君が石坂長官の書簡を発表したことに対して,…

志賀直哉「広津君の仕事」

広津君の仕事 9月に放送した梅原竜三郎との対談の時にも話したが,ああいふ問題といふものは,起つた時には誰でも熱心に書いたり,現地まで行つたりするが,そのうち水爆実験とかビキニとかいふと,またすぐそつちの方へ行つてしまふ. ジャーナリズムが新しい問題…