1938-04-15から1日間の記事一覧

(2)中間者の意義

中間者とは常人と精神病者との中間に介在なすものを総称し其の種類甚だ多く亦其の鑑別も極めて困難にして臨床家も常に苦しむ所なり. 而も社会の一般犯罪とは極めて密接なる関係を有せり 今此處には特に犯罪者と関係深き種類のみ挙げたり[*1] (A)病的虚言者 (…

(1)犯罪をなす兵の精神状態

犯罪者中には前科ある者も少からす初犯者と雖も詳細に鑑定せは精神的欠陥を有する者多く所謂中間者に属すへきものなり 中間者の存在は社会に及ほす影響甚大なる如く軍隊に於ても是を軽視得さる所なり. 今事変中の犯罪の模様を観て一層其の感を深らしめたり, …

第3章 戦場に於ける犯罪に就いて

今時の事変中将兵中に頻発せる犯罪事件は其の数極めて多く其の原因につきても種々講究するの要を感し命により法務部及ひ憲兵隊と連絡をとり調書,司法書類,被告人等につき調査を実施せし結果により得たる所を左に記述せんと欲す

緒 言

長期に亘る過度の精神緊張は精神機能を疲労に陷らしむにより恰も長く張られたる線楽器の線の切れ易きか如く事故を起こす怖あり. 精神弛緩も亦危険を伴ひ犯罪頻発の原因となる 緊張過度は精神竝に神経病の誘因となり精神弛緩時には犯罪是れに伴へる事は今事変…

『戦場神経症竝に犯罪に就いて』表紙

[秘] 戰場神経症竝に犯罪に就て [注: 表紙に執筆者の名はない. 中央に縦書き一行標題のみ,右上に四角い「秘」の印]

早尾乕雄「戦場神経症竝に犯罪に就て」目次

【緒言】 【1章…略】戦場神経症 【2章…略】戦場精神病に就て 【3章】戦場に於ける犯罪に就て (1)犯罪をなす兵の精神状態 (2)中間者の意義 3節以降は⇒id:dempax:19380416へ続きます (3)犯罪の種類 (4)犯罪発生の原因 (5)犯罪の豫防策 【結論】

出典

高崎隆治編・解説『十五年戦争重要文献シリーズ第1巻 軍医官の戦場報告意見集』不二出版HP 1990/02/20 資料1:早尾乕雄『戦場神経症竝に犯罪に就て』[*1]1938/4月 タイプ打ち孔版印刷 *1:原文は片仮名,本サイトでは読者の読み易さを考慮して,というより入力し…