2013-05-26から1日間の記事一覧

【33】p.43

たとえフォリソンが「不誠実」であるとしても、ヴィダル・ナケが「ガス室は存在した」という文が真であると彼を説得しえないだろうことには変わりない。この歴史家は同じような仕方で「いまだに反ドレフュス主義者がいる」と苦々しく確認している。アンリ大…

【27】p.33より

生き残った人たちの沈黙は、必ずしもフォリソンがそう信じ、あるいは信じるふりをしているようなガス室の非存在を利する証言ではない。それは、受け手の権限に反対して(われわれはフォリソンなどに報告すべきいわれはない)、証人自身の権限に反対して(命拾い…

【22】p.31より

抗争は、文にされうるはずの何ものかがいまだ文にされえていないという、言語活動における不安定な状態であり、その瞬間である。この状態は否定的な文である沈黙を含んでいるが、それと同時に原則的には可能であるはずの文を呼び求めている。普通、感情と呼…

【9】p.21より

犠牲者とは、自分が受けた不当な被害を証明することが出来ない人のことである。告訴人とは、損害を被り、それを証明する手段をもつ人のことである。この手段を失えば告訴人は犠牲者となる。彼がこの手段を失うのは、たとえば加害者が直接的ないし間接的に裁…

書誌情報

J.F.リオタール/陸井四郎他訳『文の抗争』(法政大学出版局/叢書ウニベルシタス269 1989/06/12:原著1983)