9.美事(川名利夫)


北條町長須上野幹太郎氏は震災の時 日が暮れると家人車夫に命じて所有の米を罹災者に分配してくれた 而もその仕方は「今夜此処にお米を少々置いて行きますからお上がり下さい」と置いて暗に隱れて行くので人々は神様ではないかと思つたさうである


そして9月1日から10日までつづけてその量は80餘石に達したといふ


氏は災害當日から患者は一切無料施療でその後も1年あまり誰からも1餞の藥價を徴せずにやつたさうである