8.職務に身を忘れて(石野正)

我が瀧田村は彼の大震災に當り 比較的被害少かりし爲 青年團 消防団員の大部分は被害甚大なりし北條那古船形方面に出動して避難民救助消防やら糧食の配給等に寝食を忘れて盡力すること3日間に及んだ 特に火災の多かりし船形町には村内有志より多大の米穀と牛乳と莚類の寄附を募つて避難民を救済し且村内數ヶ所に避難民休養所を設けて糧食(握り飯,牛乳,湯茶等)及宿を無料にて提供して盡力せし青年團竝消防團員の行爲は感謝すべきものが少なくない


瀧田小學校長石井某(48)外2名の職員は 小學校の倒潰する其の瞬間に於て 頭部肩部其の他數ヶ所に重傷を負うて畏くも御眞影を安全地帯に御移し申した其の時 石井校長は負傷の外に肋骨を2本折つた爲 一時は身動きも出来なかつたとのことである 此れ等教員は自己の職務を良く全うせるものといふべし