【3】


本日の判決は被告東京電力に 原告42名に対して 総額3億7600万…円の支払いを命じた(本判決に先立つ裁判上の和解によって和解によって支払済の金額を含めると総額4億3068万…円)


原告をはじめとした本件原発事故の被害者は 住み慣れた先祖伝来の地を追われ ふるさとを奪われ 家族は離散を余儀なくされた 仕事や学校生活も 財産も失った その被害の広汎性・継続性・深刻性・全面性・不可逆性等あらゆる面から見て これまで私たち国民が経験したことのない未曾有の規模の公害であり 人災である 被害者らは算定が不可能なほどの甚大な損害を被った これに対して被告らは 原子力損害賠償紛争審査会が定めた「東京電力株式会社福島第一,第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」等(以下「中間指針等」という)の基準による額をもつて 損害賠償としては 十分である と 主張してきた しかしながら 同基準は 膨大な人数にのぼる被害者の当面の最低限の生活を維持するために 地域によって線引きをするなどして決めた 画一的かつ応急的に対応するための政策的な基準に過ぎないことは明かである この基準が定める額をもつては 原告ら被害者が被った甚大な被害を償うことなど到底 出来ない


本日の判決は


□中間指針等の賠償基準にとらわれることなく これを超える損害賠償を認めた事


□原告らが求めていたふるさと喪失慰謝料については避難生活にともなう慰謝料では填補しきれないもの
については ふるさと喪失慰謝料と呼称するかどうかはともかく 本件事故との因果関係のある精神的損害として 賠償の対象となり得るとしたこと 及び


□区域外からの避難者についても避難の合理性が認められる場合には 避難をした者の個別・具体的な事情に応じて避難により生じた相当な範囲の損害が賠償の対象となり得る


としたことなど評価すべき点も多い


もっとも 認定した損害額については 真に被害の実態に即した十分なものとは言い難く今後の克服されるべき課題として残された