出会いは広島のビアガーデン


主人と出会ったのは1965年の夏,広島のビアガーデンででした


「うちの会社のお客さんが東京から遊びに来ているんだけど,明日東京に帰るそうなので,せっかくだから一緒に飲まない?」


そう友人から誘われたのです. 最初は全然知らない人と飲むのは気がひけましたが,何人でもいいからおいでというので仲間3人で行ったんです. その東京の人が主人でした


主人は広島出身ですが,その時すでに漫画家として東京に出ていました. 初対面の主人はとても話が上手で,面白くて聞いているうちにどんどんのめり込んで,あっという間に3時間が経っていたんです. 私は普段はあまりお酒を飲むほうではないのですが,楽しくて暑くて美味しくて,大ジョッキを飲み干していました


で,お会計となった時に,主人が全部支払ってくれていて,さすがに悪いので,後日友人に住所を聞いて御礼状を書いたんです. まさかその時は結婚するなんて思っていませんでしたが,忘れた頃に返事が届き,お付き合いすることになりました. ただ,遊びで付き合うのは嫌だったので結婚を前提に文通を始めたんです


東京には女性がたくさんいるのに,なんで私なんだろうとちょっと不思議でした. 後から聞いたら,私が広島県人だったからだそうです. 私自身は広島市から離れた瀬戸内海出身で被爆していないのですが,被爆者だった主人は,広島の人のほうが原爆に関して理解があると思ったのだそうです


付き合っている頃,主人は被爆したことをすごく気にしていました. 当時は「伝染る」だとか言う人もいましたし.でも私は全然気にしませんでした. 8月に出会って,その後2回会っただけで,翌年2月には結婚したんです