1946-11-10から1日間の記事一覧

正木ひろし「不敬罪の本質」出典

初出:『人民新聞』1946/11/10 『正木ひろし著作集IV 社会・法律時評』三省堂,1983/04/01 p.102-p.104

温存される不敬罪

不敬罪が名誉毀損罪等と同じものなら,特に不敬罪を保存する必要はない. 彼等がこれを保存することに狂奔している由縁のものは,名誉毀損罪などとは根本的に異なるところがあるからだ. すなわち,名誉毀損罪等は個人が個人を訴えることによって,はじめて裁判問…

打ち消された迷信

この声明は,天皇制利用の非民主主義主義者にとっては,正に致命的であった. 天皇と一般国民とが平等の位置に立ってしまっては,彼等の利用すべき階級的の落差の余地がなくなってしまう. 既に最高司令部の数次にわたる司令によって国家神道の宣伝が禁止された結…

人間はすべて平等だ

民主国の人々は,万人が平等であり,上下の別はないが,在来の日本では,人は生まれながらにして君臣の別がありとされ,天皇は最上で,一般国民は最下であり,最上と最下の間には無数の段階が設けられていた. 命令は上からは出るが下からは出せない. 国民は政府のこ…

『人民新聞』1946/11/10 『正木ひろし著作集 第4巻 社会・法律時評』三省堂,1983/04/01 p.102-p.104

不敬罪の本質 正木ひろし 川の水には上流下流の区別があるが,海の水には上流も下流もない. これが在来の日本と民主主義国との根本的の相違であると共に不敬罪発生の原理なのである