温存される不敬罪


不敬罪名誉毀損罪等と同じものなら,特に不敬罪を保存する必要はない. 彼等がこれを保存することに狂奔している由縁のものは,名誉毀損罪などとは根本的に異なるところがあるからだ. すなわち,名誉毀損罪等は個人が個人を訴えることによって,はじめて裁判問題として取扱われるのであるが,不敬罪は,天皇の告訴を待たず,政府の権力を以て任意に人を取調べたり,公訴を提起したり出来るのである. 前者を親告罪とゆい,後者を非親告罪とゆう. 泥棒や人殺しと同じ手続きにしたいとゆうのが政府の腹なのである. これによって彼等は再び陛下の官吏となり,国民を監督することが出来るし,これによって上下の区別が確保され,自分たちは番犬となり,そして一般国民を牛馬の如く扱うことが出来るのである. 不敬罪の本質はここにある