人間はすべて平等だ


民主国の人々は,万人が平等であり,上下の別はないが,在来の日本では,人は生まれながらにして君臣の別がありとされ,天皇は最上で,一般国民は最下であり,最上と最下の間には無数の段階が設けられていた. 命令は上からは出るが下からは出せない. 国民は政府のことを「お上」とゆい,巡査に至るまで,政府の役人なるが故に一般国民よりは上にあるかの如くに振舞って来た


川の流れを利用するものは楽に仕事が出来るように,在来の日本においては,この階級制を利用すれば,どんな馬鹿でも楽に生活が出来た. ここに天皇制がある種の人達にとっては,ゆうにゆわれない有難味があったと共に,人類としての堕落の原因もあったのである. 何故ならば,川の水を利用するのは,天然自然の物理的な落差を利用するのであるから,水をダマスことも,水に圧迫を加えることも不必要であるが,人間社会に階級を作りこれを利用するためには,迷信によって国民をだまし,刑罰の圧力を加えなければならない. 川はその落差が大きいほど,上から下への利用価値が多い如く日本の天皇制は,天皇の位置が高いほど利用価値がある. 戦争犯罪人ないし戦時利得者が,如何に天皇制を利用したかは記憶新たなものがあろう


この野蛮な階級制度は,人類の大道である民主主義と矛盾する制度なるが故に,マッカーサー元帥は,去る10月9日の声明で「人は法律の前に平等であり,天皇とゆえども普通人に与えられているもののほか特別な保護は受けてはならぬ」とゆわれた