3.恩に感じ工場に奮闘(船橋町役場)

船橋町九日市麸製造所 元消防組頭大野善兵衛は12年10月習志野収容所の副官古賀少佐を訪ひ 同所に収容中の避難民中最も哀むべき孤兒の養育方を申込み 當時深川區平井町民五郎長男昌一(當時9歳)を引き取り爾來殆ど我子の如く義務教育の終るまで通學せしめたるを以て 同少年は深く氏の恩を感じ 今は專心同家の爲同工場にて奮闘して居るとは 方今情義頓に廢頽せむとする時 斯く涙ぐましき美行は洵に世の龜鑑と謂ふべきなり