帝國通信講習會『教育勅語義解』


□ 例言


教育勅語義解[*1][*2]


【第一段 第一節】朕惟ふに我か皇祖皇宗國を肇むること宏遠に・を樹つること深厚なり【第1文】


【第一段 第二節の上】我か臣民克く忠に克く孝に億兆心を一にして世々厥の美を濟せるは


【第一段 第二節の下】此れ我か国体の精華にして教育の淵源而此に存す【第2文】(以上 第1段)


【第二段 第一節】爾臣民 父母に孝に (1)


【第二段 第二節】兄弟に友に (2)


【第二段 第三節】 夫婦相和し (3)


【第二段 第四節】朋友相信し (4)


【第二段 第三節[*3]】恭儉己れを持し博愛衆に及ほし (5)


【語解】「恭儉」とは恭は一擧一動すべて慎みて 疎かにせざる事 儉は財用を節して無益に物を費さぬをいふ. 「己れを持し」とは己れの身にしかとしまりをつくることなり. 「博愛」とは博く物を愛するをいふ. 「衆に及ほし」とは衆人庶物にまで及ぼすことなり


【大意】謹んで按ずるに此の一節は自己一身の取締すら出来ずして放埒に打任するときは□に己の美徳を損ずるのみならず又社會の秩序をも害するに至るべければ何事も深く□丁重を重ね人に接してはたとひ匹夫野人に對するにも決して倣漫無禮の振舞あるべからず又生計上は專ら財用を節約して無益に費すことなく此の恭儉の二字を以て己れの身をしめくくり守るべし且夫れ己一身のみを愛するに足らずこの心をおし廣めて博く物に及ぼし人間は勿論禽獣蟲魚に至るまで仁愛を施して無益の苛虐を加ふべからずとの聖意なるべし


【設問】人恭儉ならざるときは如何なる結果を生ずべきか


【設問】節約儉素なりし適例を問ふ


【設問】恭謙温和の徳を具へし人の適例を問ふ


【設問】博愛を施さんと欲せば如何なる心得を要するか


【設問】古來博愛なりし人の事蹟を略叙せよ


【第二段 第六節】學を修め業を習ひ以て智能を啓發し・器を成就し (6)進て公益を廣め世務を開き (7)


【語解】


【大意】謹んで按ずるに此の一節の意は 人は生まれながらにして知るものなく又學ばずして能くすることなきものなれば學を修めて智識を開發し業を習ひて益々技を上進せしめ内は以て事物の理に通曉し外は以て品性を高尚にし尚世路に處しては一人己の利益をのみ計らずして廣く公衆一般の利益になる事をも圖り又良きが上に良き工夫をこらして 世務の發達進歩をも計り己が身に貯へたる智□器量を實際に活用し以て世の文明を助くべしと宣へる聖意なるべし


【設問】智と徳との關係は如何


【第二段 第七節】常に國憲を重し國法に遵ひ (8)


【語解】「常」とは平常絶えずといふ意なり 國権とは我が邦の憲法なり. 憲法とは我が日本帝國の組織を明に定められたる規則にして 明治廿二年十一日の紀元節に發布せられたるものなり.「重し」とは大切に戴き奉ることなり. 國法とは吾人臣民をして安全に生活せしめんが為 制定せられたる我が帝國の諸法律をいふ. 「遵ひ」とは慎み守りてこれに違はざるをいふ


【大意】謹んで按ずるに本節の意は吾人が随意に生計を榮み 及び公益を計る等の事は一己の為又國家の為必要なれども之を為すに於て決して國憲國法の命ずる所に背くべからざるなり. 萬一違憲違法の行為あらんか,たとひ公益の為なればとて國法の赦さざる所なれば帝國臣民たらんものは常々國憲を尊重し國法を遵守して良民たるの本分を□らざるやうに注意せよ,との聖意なるべし


【設問1】憲法とは如何なるものか …


【設問2】我が國の憲法制定は西洋諸國のと 同趣意なるか如何


【設問3】知らずして國法を犯すは罪とならざるか如何


【設問4】古來能く國法に遵ひて其の義務を果たしし人の例を擧げよ


【第二段 第八節】一旦緩急あれは義勇公に奉し (9)


【語解】「一旦」とは何時か一度なり. 前節の常の字に對す. 「緩急」とは猶急場といふが如し. 「緩」の字は只添字にて意義なし. 「義勇」とは義に適ひたる勇氣なり. 「公」とは國家のことなり. 「奉し」とは俗にいふ奉公することにて, 國家の為におのが身命を抛ちて盡力するをいふ


【大意】謹んで按ずるに汝臣民等は若しも我が國に一朝事變の起りたらん時は, 國の為,君の為堅く義を守りて勇を鼓し, 一身を抛ちて忠誠を盡し, 小は一己の安寧を保護し大は國家の獨立を謀りて我が國體を辱しめざるようにせよとの聖意なるべし


【設問1】國民たるもの 義勇の念に乏しき時は 其の國は如何に成り果つべきか …


【設問2】義勇公に奉ぜしものの例をあげよ …


【第二段 第九節】以て天壌無窮の皇運を扶翼すへし 【第3文】


【語解】「以て」は,上文「父母に孝に」以下の數節を受けて宣へる詞なり. 天壌無窮とは天地の幾千萬年を經とも,限りなきが如くに永世盡くることなきをいふ. 此の語は天照大神の「天壌と□に窮りなかるべし」と宣へる御詞に基づく. 「皇運」とは皇室の運命をいふ. 扶翼とは力を盡してたすけ奉ることなり


【設問】我が國の天壌無窮に榮えんことは,何によりて之を知るべきか …


【第二段 第十節】(以下略)


【第三段 第一節】


【第三段 第二節】


【第三段 第三節】


□ あとがき



*1:「【】」は原文には無い 分りやすくするために附けた

*2:「教育に關する勅語」から原文(振り仮名附)を掲げ【語解】【大意】を説明してから【設問】と模範解答を附けた演習書 原文末尾【…】は小野正康『研究社學生文庫-101- 修養 教育勅語謹解」』研究社,1940/4/1 冒頭折込による 小野正康「文」を「節」と呼んでいるが 全体構成は 小野6,7文を一つの節に纏めているのを除いて 小野と同じ

*3:「第三節」は「第五節」の誤り