落差について

原発問題全国住民運動連絡センタ http://homepage2.nifty.com/gjc/
第24回総会への報告から http://homepage2.nifty.com/gjc/j260.html#j260-41

2-2.自己検証(「原発動向」「原発の危険」「運動方向」「IAEA安全シリーズ」「平和利用暗黒時代」「住民監視の力量」などをめぐって)[抜粋]

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2-2-4.国際原子力機関(IAEA)の「安全シリーズ」をめぐって

○「IAEA安全シリーズ」の刊行に対する著しい不理解

    IAEA原発の安全にかかわるいくつかの主要事項について、加盟国全体に共通の基盤を提供する「NUSS(Nuclear Safety Standards)計画」を策定し、1975年より活動を開始しているが、日本では著しい不理解がある
  • 日本はこの種の刊行物紹介に積極的ではない
  • IAEAは国際的な原子力の推進機関であるが、原子力安全への取り組みは評価すべきこと

IAEAの「原子力発電所のための基本安全原則」勧告(1988年)に日本は反対−この事実は国民に知らされていない

    IAEAの米・旧ソ連の二つのシビアアクシデント(苛酷事故)の教訓をまとめた「原子力発電所のための基本安全原則」の勧告について、日本が国際原子力安全諮問委員会(INSAG)の作業段階から反対し、国内実施を阻んできた
  • 「アクシデントマネジメント((1)苛酷事故への拡大防止策、(2)苛酷事故に至った際の影響緩和策)」は国の公的規制の対象となっていない。「電力会社の自主的活動」とされていること

○「緊急時計画」の欠如(「1-1-2」参照)について、国民に知らされていない

  • 日本の防災対策では無視されてること

IAEAの国際基準に則った原子力規制機関が日本に不在であること−この事実も国民に知らされていない

    IAEAの「原子力発電所安全基準(政府組織)」が規定する「規制機関」
  • 「3.規制機関の役割と責任」の「法的地位」の「301.規制機関は、その国境内の原子力発電所の立地、設計、建設、試運転、運転及び廃止措置における原子力安全に関連した全ての問題について、政府としての全ての監視、管理に対する責任を持たねばならない」
  • 同じく「法的地位」の「302. 規制機関は、原子力の推進に対して、責任を負ってはならない。また、加盟国内のこの責任を有する組織から独立していなければならない」
  • この点では、『原子力安全白書』(平成15年版)の「国と事業者の責任についての国際原子力機関IAEA)の規定」(7頁)と題して「(規制 機関は、その国境内にある)原子力発電所については、その立地、設計、建設、試運転、運転及び廃止措置における原子力安全に関連したすべ ての問題について、国として(政府としてのすべての)監視、管理に対する責任を持つとしています」と説明している。このIAEAの規定は「規制機関」の規定であって「国と事業者の責任について」の規定ではない。説明文も、主語の「規制機関」を消すことによって、主語が「国」で あるかのように偽った紹介をしている。(MSゴシック)部分はIAEA規定から削除されている部分。はIAEA規定と異なる部分

○日本の規制機関についての著しい認識不足−住民運動側にある(国と電力会社は意図的)

    日本の原子力規制は開発当初からの「産官学癒着」構造
  • 原子力施設の設置申請の第一次審査に当たる原子力安全・保安院には、日本の当初の原子力開発の「産官学癒着」構造が現在も引き継がれ、耐震設計の審査基準には、一業界団体でしかない日本電気協会の技術基準(JEAG4601)が使われている。バックチェックでも事情は同じ−「JEAG4601」や土木学会による「リニアメント調査」は一般的な「変動地形学的調査」の判断と一致せず、正反対の結果をもたらすことが多い
  • 原子力安全委員会の旧指針の見直し審議の際、「JEAG4601」関係学者が主導的な役割
  • プレート間地震震源域のど真ん中や地震常習地帯に原子力施設の立地が容認されてきたのは日本の原子力安全の規制体制に重大な欠陥があるからである
  • 立地自治体の「地元同意」の際、「専門家委員会」設置が広がっているのは日本の規制体制への不信感からであること
    国際基準に則った規制機関の確立は急務であること
    原子力施設の事故調査は第三者機関で実施
  • 事故の刑事責任追及第一を改め、事故の再発防止を優先すること
  • 身内同士の“馴れ合い調査”はやめること
  • 事故の利益関係者が加わる調査もやめること
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