下書…服部之総「ドイツ・小ブルジョア・イデオロギー」(抄)

ふたたび西周に話を戻せば,かれはその当時陸軍省四等出仕筆頭文官で,あと7年たつと,ポツダム宣言受諾の日まで効力をもった「軍人勅諭」の執筆者となって,男爵たるべき基礎をつくるのであるが,先に引用したかれの韓図から俾歇児に及び,墺及斯多・■度から寳雑吾・■爾に至る,和蘭の哲家阿伯曾米爾直伝の該博な智識と軍人勅諭とが,いかにして一個の人間の中で矛盾なく合致したかという謎は,上来『宣言』にしたがってドイツ・小ブルジョアイデオロギー主義のカント以来の伝統を案内されたものにとっては,すでにして何らの謎でもないであろう