明治維新と羽仁氏の研究

山形 羽仁五郎氏の明治維新の研究をどう考へるか


家永 羽仁氏の研究は概して一つのイデオロギーが表面に出すぎてどうかとおもふ. 一般の参考書として尾佐竹猛[おさたけたけき]氏の『明治維新上巻』は専門的すぎる嫌ひはあるがよいしまた『日本財政史■■』は非常によくまとまっている


吉田 明治維新を王制復古と見る考へ方はどうか


家永 明治維新は要するに国内国外の力によつて封建制が崩壊した歴史変革過程であつて,それを復古と見るよりもむしろ前進と見ることを強調したい. 事実維新における尊皇論の役割は従来説明されてきた程に大きくなかつたやうである


山形 ここでどうしても児童に近代の資本主義の何たるかを教へねばならぬとおもふがその点でよい参考書は


家永 先にも挙げた土屋喬雄『日本経済史概要』『日本資本主義上の指導原理』が適当だ