鎖国は大なる損失

磐田 海外貿易に関して何か適当な参考書は


家永 これも岩波講座『日本歴史6』中の岩生[いわお]成一「近世初期の海外関係」が一番参考にならう


吉田 鎖国についても色々に解釈されるが幕府自衛の策といつた風に考へてよいか


家永 ともかく鎖国といふものが日本にとつて非常な損失であつたことを強調することが必要である. これは結局徳川の封建的社会がキリスト教という新しい勢力によつて破壊されるのを恐れたのであらうが,これによつて世界の大勢から遅れたことは徹底的に損失であつたことを強調すべきだ


菱沼 この時代の風俗,衣食に関して児童の讀むもので適當なものは


家永 日本の衣食住に関しては児童向けのみならず一般にないが,柳田國男氏の民俗学で日常生活の移りかはりを研究したもの例えば『木綿以前』[*1]創元社などは面白い


磐田 蘭学についての解り易い解説書は


家永 森銑三『オランダ正月』冨山房,1938[*2]がある. その他,板沢武雄『蘭学の発達』(岩波講座 日本歴史6),高橋眞一『洋学論』三笠書房,1939[*3]がある. 解体新書の話などは詳しく教へたら面白いとおもふ

*1:『木綿以前のこと』岩波文庫
木綿以前の事 (岩波文庫)

*2:『新編・オランダ正月』岩波文庫
新編・おらんだ正月 (岩波文庫)

*3:『洋学思想史論』
洋学思想史論