藤沢市教育委員会

赤見委員 「はだしのゲン」を読ませていただきましたが、私は「はだしのゲン」は、学校図書館法第2条の健全な教養を育成する図書とはとても思えないです。理由は内容がグロテスクで、非常に暴力的な記述があちこちに見られます。映画で言えば映画倫理審査委員会のR15 指定を受けてもおかしくないという感じがします。全5巻を掲載していた少年ジャンプも1年半でやめたということですし、コミック本を出しているのは集英社ではない他の会社ですし、そういった意味では集英社は自主規制したのかなと勝手に思っています。それから私自身は、漫画本はブラックジャックといったものから学校図書館に置かれていると聞いておりますけれども、漫画本自体は日本独自の文化で、外国でも評価されておりますけれども、想像力を養うという点では文章に比べて劣るので、小中学校に置くのであれば、文章を書いてある本を読んでいただきたいというのが私の考えです。採択するか、しないかですが、私のはだしのゲンに対する意見は今、述べましたけれども、学校図書館の運営は校長に委ねられている以上、教育委員会でいいとかだめというのは混乱する可能性もありますし、もし採択したとすれば、大きな波紋を呼び、かえってはだしのゲンを宣伝することになってしまうかもしれないと危惧されますので、不採択としたいと思います



関野委員 私も子どものときに図書館にあったのだろうと思いますが、読みました


今回の請願を通じてあらためて読んでみて、子どものときには気づかなかったけれども、請願に出ているとおり、確かに過激な描写が多いというところに危惧を感じるといいますか、このようなものを子どもに見せていいのだろうかという思いを持ちました。また、それが実際に史実として正しいのかどうかというところにも、非常に疑問を持ちました。また、昭和天皇に対する表現についても、こういう意見を述べる方もたくさんいらっしゃるだろうなと思います。「はだしのゲン」のような漫画本ができるというバックボーンも理解できなくはないですけれども、子どもに見せたいかというと、とてもそんな気持ちにはなれません。ただ、世の中にはいろいろな意見がありますので、その意見の1つとしての「はだしのゲン」という本が存在することを頭から否定するものではありません。すべての本をこれはいい、これは悪いと判断することは困難だと思いますので、仮に「はだしのゲン」のような本を図書館に置き続けるのであれば、学校側の校長先生をはじめとする先生方の特別な配慮をしていただきたいと思います


一意見としてのはだしのゲン、戦争に対する考え方としてこういう意見もありますということを子どもたちに示しながら、この「はだしのゲン」を学校に置いていただきたいと思いますので、今回の件に関しては不採択でいいと思っております



吉田委員 私は、事務局の説明のように、学校図書館の管理を含めて学校の管理運営については、基本的には校長にお任せしている立場にあると思っています。学校図書館の管理についても、そういう意味からいって基本的に学校長の権限の範囲内と考えています。学校図書館にはさまざまなジャンルの本を選定して、子どもたちがみずから手に取って、みずから選ぶところに価値があるように思いますし、そういう読書の機会を与える場と考えています。学校図書館の本を選ぶ際には、学校はさまざまな手立てを取っていますけれども、まず、校長、担当の先生方が児童生徒の実態を把握していること、子どもたちのリクエストに応えるためのアンケートを取っていること、藤沢市には学校図書館専門員を各小中学校の図書館に配置しておりますけれども、そういった専門的な意見も聞いて蔵書を選んでおります


最終的には教職員全体で授業とか教育活動とか、子どもたちの読書活動にふさわしい本はこれではないかというようにして毎年選んでいると思っています。今回の「はだしのゲン」については、先ほどからお話があるように、原子爆弾の悲惨さ、戦争の怖さを伝えるというところでは非常に過激な部分があると思っています。ただ、作品の一つひとつをとらえたり、一場面をとらえたりということではなく、日ごろから自分で考えることができる子ども、自分で本を選ぶことができる子どもを育てることに主眼を置いた教育活動が大事ではないかと思います。ぜひ、そのような教育活動を学校の教職員の皆さんにしていただきたいと思います。そういった観点から学校の責任で選べばいいと考えておりますので、本請願については不採択としたいと思います



阪井委員長 私は初めて「はだしのゲン」の漫画を読みました。先ほどから、各委員がおっしゃっているように、非常に偏った思想、そして過激な表現の絵が強く印象に残っております。しかし、学校図書館を管理しているのは学校であるという観点からしますと、今回の請願については不採択としたいと思います。ただ、このような請願が出ているということを各教職員は肝に銘じ、もう一度この本を読んでいただき、それぞれの考えの中で偏りとその反対になるような多方面の考えがあるような本なども読んでいただき、多方面の資料や本の中から子どもが自ら考える、歴史観を持てるような子どもを育てていただけるような教育活動をしてほしいと思います


また、この本の過激さから言うと、小学校の子どもたち、特に低学年の子どもたちは、文字はまだ読めませんが、この絵を見ることはできます。その中で恐怖心や嫌悪を感じるということを鑑みますと、この本の取り扱いについては各学校の図書館の中で考えていただきたいと思います。また、平和学習を漫画からするのではなく、書物や現場の資料などから学ぶ活動をしていただけたらと強く願います


それぞれの意見が出ましたが、あらためて採決をしたいと思います。請願(1)はだしのゲンについての請願は、不採択ということでよろしいですか


(「異議なし」の声あり)


阪井委員長 それでは、請願(1)はだしのゲンについての請願は不採択といたします