朝日新聞1997/01/26 1面梶山(官房)長官の慰安婦発言 首相が陳謝

橋本龍太郎首相は日の金泳三大統領との昼食会で,梶山静六官房長官が元従軍慰安婦に関連して「当時公娼制度があった」などと述べた問題について「報道の結果,(大統領と韓国国民が)懸念を持たれたとしたら申し訳ないし本意ではない」と陳謝した


金大統領は「(慰安婦問題は)韓国国民にとって非常に敏感な問題だ. 官房長官は内閣のスポークスマン. 発言は非常に不幸なタイミングで国民に衝撃を与えた. 納得のいく説明が求められる」として日本政府の真意をただした


これに対して橋本首相は「発言は従軍慰安婦の起きた時代背景として公娼制度があったことを中山太郎元外相から聞いた話として紹介したものだ」と説明. そのうえで首相は「私は(昨年6月の)韓国・済州島での会談で『この問題ほど女性の名誉と尊厳を傷つけた問題はない. 心からお詫びと反省の言葉を申し上げたい』と述べた. 自分の認識は全く不変である」と強調した


この問題に関連して金大統領は同日の記者会見で「日本の一部の政治家が過去に対して韓国国民にとって理解に苦しむ話をよくしている. 実際にあったことは隠すことも消すことも出来ない. ありのままの過去を直視したうえで未来志向的な関係を築いていかなければならない」と述べた

『赤旗』1997/01/26 1面 【慰安婦問題】騒いでいる人たちは当時のことを知らない/自分でなった人もいる

橋本竜太郎首相は25日, 大分県別府市内のホテルで, 金泳三南朝鮮大統領と会談し, 記者会見しました. 大統領は梶山静六官房長官従軍慰安婦にかんする発言に関連して「遺憾だ」とのべるとともに「過去を直視すべきだ」とのべました


梶山長官の発言は24日記者団に元従軍慰安婦問題について「いま騒いでいる人たちは当時のこと,時代背景も知らないんだ. 当時は公娼制度が厳然としてあった. 自分でなった人もいるし貧しくて入った人もいた. 戦地にいけば加給金をもらえたし,一部は徴用された人もいた」とのべたもの. また一部報道によると「背景も知らずに,そういうことだけを教えるのはどう思うか」と歴史教育の見直しの必要性も示唆しました


金大統領にたいして橋本首相は,訪中した中山太郎元外相の話を梶山長官が紹介した伝聞だったなどと説明し「不快に思われたとしたら申し訳ない」と釈明. 昨年6月の首脳会談で「女性の名誉と尊厳を傷つけた」と謝罪した「認識は不変だ」などとのべました. 日本政府が元従軍慰安婦に直接償うつもりがあるのかとの南朝鮮記者の質問にも答えず植民地支配にかんする反省の言葉もありませんでした(2面に関連記事)

『赤旗』1997/01/26 2面 梶山暴言で南朝鮮マスコミいっせいに報道【ソウル25日時事】

韓国マスコミは25日梶山静六官房長官の24日夕の慰安婦問題にかんする発言について「当時の歴史的背景を教えないで慰安婦問題だけを中学教科書で扱うのはおかしい」との「妄言」をおこなったと報道日韓首脳会談への影響も予想されると論評しました


公営放送であるKBSテレビは同日朝のニュースでこの発言を伝え「韓日首脳会談の前日に閣僚の妄言が繰り返されたことで今後大きな波紋が予想される」とのべました


聨合通信は妄言という表現は使わなかったものの発言内容を詳細に報道するとともに「梶山氏の発言は慰安婦問題を中学教科書から削除するよう要求している右翼勢力の動きに呼応したものと解釈される」と指摘しました


一方,新聞では有力紙の朝鮮日報と韓国日報がいずれも総合面で梶山氏の発言を伝え「日本の官房長官が妄言」との見出しを付けました

『赤旗』1997/01/26 2面 日本・南朝鮮首脳会談 二氏の記者会見…要旨

南朝鮮記者 現在,日本は国連安保常任理事国入りをめざしており,国際社会における地位を高めようとしている. しかしこの()ような日本の姿勢で隣国国際社会の支持を取り付けることができるのか. 日本の基金は韓国の一部の慰安婦被害者に一時金を支払って,韓国政府と摩擦を引き起こした. 今後,日本政府は直接被害者に対して償うつもりがあるのか


橋本首相 首脳会談の最初に,梶山官房長官の発言に関する報道を御覧になって,不快に思われたとすれば申し訳ないと申し上げながら,事実関係について説明した. 梶山長官の発言は記者会見ではなく歩きながらの取材に応じるなかでの発言であり,ある日本の国会議員が中国を訪問した際に話したことの紹介だった. それはかつてわが国に公娼制度が存在した,今の時点で考えれば褒められる話ではありませんが,従軍慰安婦の問題があった時代の背景として認識しておくことが必要だと若い記者に説明した. 昨年6月,済州島でお目にかかったとき,私はこの問題ほど女性の名誉と尊厳を傷つけた問題はないと,心からおわびと反省の言葉を申し上げた. この問題について私の考えも日本政府の考えも,いまもまったく変化していない. この問題に対する国民の真摯な気持ちがこの基金に対する募金に表れている. 私としてはこのような日本政府および基金に表れている日本国民の気持ちを受け止めていただきたいと心から願っている


南朝鮮記者

日本共産党/知りたい聞きたい/皇族の予算はどのくらい? 【問い】


現在皇族は何人いて皇族のために使われる年間の予算はどのくらいでしょうか. 宮内庁の職員数・年間予算を含めて説明してください(東京一読者)

【答え】

天皇と皇族の人数は天皇夫妻と娘,皇太后,皇太子夫妻の天皇一家(内廷)6人と秋篠宮,常陸宮など7つの宮家の19人と合わせて25人です


天皇や皇族にかかわる予算(1996年度)は表のようになっています


皇室関係予算(1996年度)

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皇室費 63.81億円
(内訳)
内廷費 3.24億円
宮廷費57.51億円
皇族費 3.07億円


宮内庁費 111.98億円


皇宮警察費 80.99億円

    • -

【合計】 256.78億円



皇室費は, 内廷費,宮廷費,皇族費に大別され, 内廷費天皇一家の日常生活費, 宮廷費天皇や皇族の活動の経費, 皇族費は各宮家の皇族に支給される生活費です. 内廷費,皇族費天皇や皇族の「給料」ですが, 所得税は課税されません. 支給後は私生活に自由に使える金となり, 宮内庁経理に属する「公金」とはなっていません


宮内庁費は, 宮内庁(定員1133人)の人件費,事務処理費,宮内庁病院の経費などを賄うもの, 皇宮警察(警察庁に付置, 皇宮護衛官920人)は, 天皇や皇族の「護衛」,皇居等の警備など「天皇の警察」です


皇室関係予算は, 詳細が明らかにされないものもあり, 予算でも聖域扱いされています