宮武外骨「流言浮説に就いて」

『震災畫報【第六冊】』
大正十三年二月


流言浮説に就いて

流言浮説の本家本元であつたらしい其筋から 9月6日 関東戒厳司令部の命として左の如き印刷物を廻付した



流言蜚語に迷はさるる勿れ


何事にも驚いたり騒いたりしないて冷静によく真相を確めて事を処するのか我か国民伝統の誇りてあるのに今度の大震に當り往々無根の流言に迷はされたり又甚しいのは無稽の事を流布して人心を惑はすものかある これは実に御互に遺憾とするところてあつて其の著しき実例を挙くれば