東京新聞2017/03/16


22面【千葉中央】より


2017[千葉県]知事選

争点の現場から(3)

残る懸念「首都圏の問題」

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)配備の新型輸送機オスプレイ1機が1月30日、陸上自衛隊木更津駐屯地(木更津市)に飛来し、翌月から国内で初めてとなるオスプレイの定期整備が始まった


駐屯地では今後年間で5〜10機程度を整備する計画で、1機あたり3〜4カ月をかけ、整備期間中はホバリングや試験飛行も行われる。整備の対象は、普天間配備の米軍24機に加え陸自が2018年度から順次導入し、佐賀空港にも配備予定のオスプレイ17機も対象となる見通しだ


[写真 定期整備のため陸上自衛隊木更津駐屯地に到着した米軍のオスプレイ=1月30日 本社ヘリ「まなづる」から]


今月中旬、木更津駐屯地周辺を歩いた。オスプレイの姿は見えなかったが、ヘリコプターが頻繁に飛び立ち、隊員らが訓練する駐屯地内の様子がうかがえた


近くに住む無職女性(79)は


「今でもヘリコプターの音がうるさくて、テレビも満足に見られない。今後はオスプレイが何機も来るかもしれない。次の知事には騒音対策に力を入れてほしい」


と話す。別の無職女性(71)は


「整備するのは仕方ないが万が一、事故が起きたときにはしっかり対応出来る人が次の知事になってほしい」


と訴えた


定期整備の開始前、木更津市の要請を受けて、防衛省と米軍、富士重工業(東京)は定期整備に関する確認事項を定めた覚書(1月19日付)を交わした


木更津の住民 県の取り組みに不満も

[写真「オスプレイの定期整備は県や首都圏全体の問題」と話す野中晃さん[オスプレイ来るな いらない住民の会 事務局]=木更津市内で=]



覚書では


オスプレイの飛行(ホバリングなどを含む)と駐屯地の格納庫での作業は原則、平日午前8時半から午後5時まで


□飛行経路は駐屯地の西側(東京湾側)を使う


□試験飛行は東京湾南部や相模湾上空で行う


などとしている


オスプレイを巡っては昨年12月、空中訓練中沖縄県名護市の浅瀬で大破する事故が起きた。安全性への懸念は払拭されておらず、地元では整備期間中の試験飛行の際に何らかのトラブルが起きるのではないかと不安視する声も上がる


地元の住民団体オスプレイは来るな いらない住民の会」事務局の野中晃さん(77)は定期整備開始にあたり


「もっと県が前面に出ても良かった。県は存在感がなかった」


と批判する


その上で


「海や空の交通の要衝である東京湾相模湾での試験飛行は、千葉県や東京都、神奈川県、静岡県も含めた大問題ではないのか。次の知事には首都圏全体の大きな問題として取り組んでほしい」


と注文した



(北浜修・山口登史)



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朝日新聞2016/03/21朝刊29面【ちば首都圏】まさか こんなに米軍機/木更津の陸上自衛隊飛行場 着陸1113回【2014年度 全国3位】id:dempax:20160321


北関東防衛局宇都宮防衛事務所検査班の航空機整備 id:dempax:20130501【北関東防衛局総務部広報室『北関東防衛局広報』No.69(2013/5月号) p.4-p.5「北関東防衛局宇都宮防衛事務所の紹介」】の紹介




東京新聞2017/03/16 27面【特報 本音のコラム】より

月100時間の残業

    竹田茂夫



ドイツ語の終業は直訳すると「祝祭の夕べ」一日の仕事を終えてほっとした雰囲気を伝えるが実際にかの国のゆとりある働き方は制度がきちんとしているからだ。年労働時間は日本より約350時間短く、年に30日の有給休暇も消化率ほぼ100%で日本から見ると別世界だ


今週初め、月残業時間の上限に関して財界トップと連合会長の話し合いが100時間以下か未満かで紛糾して、総理の英断で未満に決まったとの報道があった


ほとんど漫画だが中身は深刻だ


月に100時間の残業とは過労死水準で少しでも超えれば労働基準監督署の重点監督対象になる。財界や有産階級が勤労者から労働時間をぎりぎりに搾り取ろうとするのはどの国でも同じだが、ドイツの労働運動は論理と実力で時短を勝ち取ってきた


職場関連の鬱病や過労死・過労自殺が頻発する日本では自らの健康や命を守ることさえ出来ない


K.ポラニーという学者は19世紀英国を題材に社会の紐帯を切り崩しその存続さえ危うくする市場原理に対して、工場法や社会立法や労働運動などで社会が意識的・無意識的に防御措置をとる様子を描いているが(『大転換』)社会防衛を欠く日本では財界や総理の思し召しにすがるしかないのか