佐賀)オスプレイ、木更津代替案に不信と戸惑い

(朝日新聞)


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 佐賀空港への陸上自衛隊オスプレイ配備計画が受け入れられない場合、自衛隊が代替地として陸自木更津駐屯地(千葉県)を検討していたことが明らかになった9日、関係者には不信感や戸惑いが広がった。


 防衛省佐賀空港を選んだ理由として、オスプレイに乗せて運ぶ部隊を置く陸自相浦駐屯地(長崎県佐世保市)との近さを強調していた。しかし木更津と佐世保は千キロ近く離れており、防衛省が主張する地理的根拠は無かったことになる。


 検討は少なくとも昨夏にはなされていたが、九州防衛局の川嶋貴樹局長は昨年11月、配備計画に関する県議会の特別委員会で「佐賀でやり抜く覚悟。不退転の決意で取り組む」と宣言していた。


 特別委のメンバーらは8、9の両日、木更津駐屯地を視察し、木更津市役所を訪問した。現地では木更津案について「初めて聞いた。確認しないといけない」といった戸惑いの声が上がったという。


 藤木卓一郎委員長は「(川嶋局長の)『不退転の決意』という見解に基づき、やりとりを続けていく以外にない」と語った。徳光清孝県議(県民ネットワーク)は「佐賀でなくても配備できるということ。佐賀しかないとしながら、こんないい加減なことでは防衛省は一切信用できない」と語気を強めた。


 佐賀市議会で配備計画を審議する特別委員会の川原田裕明委員長は「全く聞いていない」。12日にある特別委で防衛省に説明を求めるかどうかなど、何らかの対応を検討する必要があるとの考えを示した。


 防衛省とやりとりを続けてきた首長たちは戸惑いを見せる。


 山口祥義知事は9日の定例会見で「防衛省からは聞いていない」と断ったうえで、「『えっ』という思い」「相浦との関係をどう考えるのか」と語った。ただ、「木更津という考えがあるなら向こうから話があるだろう。私は佐賀空港への提案について対応していくことに尽きる」と、すぐに問いただすことには消極的だった。


 佐賀市の秀島敏行市長も木更津案を伝えられていないといい、「もし話がそれなりの立場の人にこそこそと伝わっているなら、そちらを問題視したい」「国は今まで『佐賀が絶対』という言い方をしてきたのに、『だめなら木更津』ということなら、最初から言ってほしい」と不信感を示した。さらに、これまで「よそに持っていかれる」と決断を急がせる人たちがいたことも明かし、「揺さぶりに出ているのかも」。ただ、山口知事と同様、防衛省にすぐ問い合わせることはないという。(松川希実、菅原普、石田一光)


(02/10 03:00)