ストーリーが浮かぶまで,ずいぶん時間がかかり,生みの苦しみを味わっていました. ですが主人にとっては,物語を紡ぐために必要なその生みの苦しみこそ,漫画の楽しみ,人生の楽しみだったんです


昨年12月,主人が亡くなる直前のこと. 主人はソファにぼーっとした様子で座っていました


「今までずいぶん頑張ったけど,一番楽しかったことって何?」


私が何の気なしに尋ねると


「そりゃあ漫画だよ. 漫画を描いている時が一番楽しかったよ」


あれだけ生みの苦しみを味わっていたのに…


「そりゃあ締め切りとかは苦しいけど,好きな漫画を描くのはやっぱり楽しかった. 絵を描くだけじゃない. ストーリーを考えて,絵を描いて…. 漫画を生み出すまでのすべての過程が楽しいんだよ」


主人はそう言って隠やかに微笑んでいました


続きは『はだしのゲン(2)ピカドン地獄編』巻末で!『はだしのゲン』執筆現場のさらなる裏話が!?