岩淵達治訳『ブレヒト戯曲全集第6巻』

未来社,1999/06/15


ブレヒト戯曲全集〈第6巻〉



(仮面をとり舞台端に出て来る)


モルダウの河の底の石は流れに押され転がる


偉大な皇帝は転がらないか? いやすべてのものは変わる、すべて変わる


時代も変わる、権力者の大計画もいつかは挫折し


強そうに歩いて見せても、時の流れにゃ逆らえぬ、権力者も


プラハの墓には安らかに皇帝たちが眠っている


いつまでも安らかに寝てるか? いやすべてのものは変わり朝が来る(アイスラー曲の訳詩)



(直訳)


1. モルダウ河の底では石が転がっていく


プラハの地下には皇帝が3人葬られている


偉いものはいつまでも偉いままでしがないものはいつまでもしがないままでいるわけはない


夜は12時間、それが終わればもう朝が来る



2. 時代は交代する.権力者の


巨大な計画もいつかはストップする


そして闘鶏の雄鶏よろしく気張って歩いても


時代はもう変わるのだ,暴力はもう役に立たない



3. モルダウ河の底では石が転がっていく


プラハの地下には皇帝が3人葬られている


偉いものはいつまでも偉いままでしがないものはいつまでもしがないままでいるわけはない


夜は12時間、それが終わればもう朝が来る


[校訂版では1,3は同じなので2から始めている]



長谷川四郎



野村修訳



高橋悠治