矢沢寛(保)『流行歌気まぐれ50年史』大月書店,1994/04/20

isbn:4272610635

□東京日々新聞1946/08/29【建設】欄投稿[*1]

顛落するまで


□私はこの三月中旬奉天から引揚げてきました。着の身着のまま、それこそ何一つ持って来られなかったのです。私は二十一歳です。奉天では看護婦をしてをりましたが、いまも免状だけは持ってをります。誰を訪ねてゆけばよいか、行先がありませんでした。本籍は福島ですが、両親はなく、遠い親戚があるとのことですが、どうなっているのかわかりません。だから、東京で働くより外に方法がありませんでした。


□やっと、他人様のお世話で女中奉公の勤口がみつかり、やれうれしやと思ったのも束の間、そこは待合であったのです。けれども、待合であらうと何であらうと、食べてゆくことができるのですから一生懸命に働きました。ところが二週間位経ったら、そこのお女将さんから「芸者になれ」とすすめられました。女将さんは「」といって、それよりもっと嫌なことを押しつけようとしました。私は驚いて、即座にその家を飛び出しました。風呂敷一つ持って…








国立国会図書館レファレンス共同データベース[*2]
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000141103
より

『歌は時代とともに/昭和21年から21世紀へ』野ばら社,//


池田憲一『昭和流行歌の軌跡』白馬出版,//


福田俊二『写真でみる昭和の歌謡史』柘植書房,//


*1:日付分かっているので郷土資料室でマイクロフィルムを読む

*2:例題として