「つくる会」の対『はだしのゲン』戦略


平成25年12月13日更新


はだしのゲン』閲覧制限問題で文部科学大臣に要請


文科省主導で教育現場から有害図書の排除を


各会員は地方自治体・図書館に働きかけをお願いします


新しい歴史教科書をつくる会は9月11日、『はだしのゲン』閲覧制限問題に関連する要望書を文部科学大臣に提出しました。また、申し入れ後に同省記者クラブ内にて記者会見を行い、当該書籍の問題性について当会の見解を述べ、今後、教育現場からの排除を目指した活動を展開していくことを発表しました。記者会見には杉原誠四郎会長、藤岡信勝理事が出席しました。


各会員におかれては、この有害図書の教育現場からの排除を目指して、(i)地元の小中学校 (ii)教育委員会 (iii)公共図書館の3箇所に対して、ぜひとも働きかけを行ってください。要請文書については、以下に文案を掲載いたしましたのでご活用下さい。



(i)『はだしのゲン』要請文 教育委員会


(ii)『はだしのゲン』要請文 学校宛


(iii)『はだしのゲン』要請文 公共図書館



参考[*1] 全国学図書館協議会図書選定基準http://www.tsukurukai.com/News/130914-4.html



はだしのゲン』要請文 補足


文部科学大臣に提出された要望書は次の通りです。



平成25年9月11日


文部科学大臣


下村博文 殿



新しい歴史教科書をつくる会


会長 杉原誠四郎



はだしのゲン』の教育現場からの撤去を求める要請


(1)『はだしのゲン』に関する事態の推移


島根県松江市教育委員会は、昨年12月17日、漫画『はだしのゲン』を閲覧制限するよう各小中学校の校長に要請しました。これに応えて各学校では、この漫画本を子供が自由に手に取ることのできる開架式の書架から、手続きをしなければ手にすることのできない閉架式の書架に移動するなどの措置をとっていました。


このような措置がとられた発端は、昨年8月、市内に住む男性から「子供に間違った歴史認識を植えつける。小中学校から撤去すべし」との陳情が市議会に出されたことにありました。市議会では審議の上、陳情は不採択となりましたが、一部の市議は不良図書であると評価し、対応は教育委員会に一任する形となりました。


そこで、教育長以下数人の事務局メンバーで『はだしのゲン』を実際に読んでみました。すると『はだしのゲン』の最終巻には、日本軍の蛮行とされる驚愕の内容が描かれていることが分かりました。そこで福島律子教育長は校長会で、教育的判断として先の措置を要請しました。


この問題が表沙汰になったのは、『山陰中央新報』という地元紙が、8月16日に大きく報道したことによります。この報道を受けて各メディアが一斉にこの問題を取り上げ、『朝日新聞』は20日付の社説で、子供と原爆との「出会いを奪いかねない」として、「閲覧制限はすぐ撤回を」と主張しました。他の各紙もほぼ同様の主張を展開し、閲覧制限を非難し、松江市教育委員会を袋だたきにする「世論」がつくられていきました。


この影響を受けて、問題が表沙汰になってからわずか10日後の26日、松江市教育委員会は臨時会議を開き、閲覧制限措置を撤回し各学校の自主性に任せるとしました。



(2)『はだしのゲン』の問題点


しかし、メディアのキャンペーンは、この漫画を読んだ人が少ないことを前提に、以下に述べる深刻な問題点を隠したまま展開したもので、実際に読めば、漫画『はだしのゲン』はいかに問題のあるものであるか、直ちに明らかとなります。『はだしのゲン』は昭和48年(1973年)集英社週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、日本共産党の発行する『文化評論』などいくつかの出版社の雑誌で連載され、最後には日本教職員組合の機関誌『教育評論』で連載されたものであり、連載が続くに従って問題のあるセリフや絵画描写が増えていきました。そして全体として見れば、以下のような問題のあることが判明します。


第1に、日本軍の残虐行為を捏造した中国共産党プロパガンダが、そのまま描かれています。主人公ゲンのセリフとして、「首をおもしろ半分に切り落としたり」、「銃剣術の的にしたり」、「妊婦の腹を切りさいて中の赤ん坊をひっぱり出したり」、「女性の性器の中に一升ビンがどれだけ入るか たたきこんで骨盤をくだいて殺したり」したことが書き込まれ、この一文ごとに一コマずつの絵があてがわれています。これは日本人として、決して見逃すことのできない、日本民族を悪鬼・劣等の人間として侮辱する、許しがたいセリフと絵の描写です。ここに描かれている蛮行は、1937年7月29日に起こった通州事件で、中国人が日本人に対して行ったものであり、中国における日本軍は、規律を厳しく守った軍隊として、このような蛮行は決してしてはおりません。


第2に、天皇に対する侮辱と罵詈雑言が書き連ねられています。「あの貧相なつらをした、じいさんの天皇、今上裕仁を神様とありがたがり、デタラメの皇国史観を信じ切った女も大バカなんよ」。「いまだに戦争責任をとらずにふんぞりかえっとる天皇をわしゃ許さんわいっ」。「まずは最高の殺人者天皇じゃ! あいつの戦争命令でどれだけ多くの日本人 アジア諸国の人間が殺されたのか」。


小学校学習指導要領では「天皇についての理解と敬愛の念を育てる」と規定しています。しかし、この漫画は皇室否定の立場から天皇を罵倒し、罵詈雑言を投げつけています。「今上裕仁」などという呼び捨ても左翼の用語法です。こうした漫画を子供の閲覧に供することは明瞭な学習指導要領違反であり、このような図書が全国の教育現場で放置されてきたことは、教育行政から見て許されない問題です。


第3に、国歌・君が代の否定です。卒業式で君が代を歌うシーンで、ゲンは「なんできらいな天皇をほめたたえる歌を歌わんといけんのじゃ」と叫びます。その後のコマでは、「君が代なんかっ 国歌じゃないわいっ」とも言っています。


平成11年8月13日に成立した「国旗及び国歌に関する法律」は「国歌は、君が代とする」と定めています。学習指導要領は、君が代を国歌として、児童・生徒が歌えるように指導することを規定しています。この漫画を子供の閲覧に供することは、教育基本法、学校教育法に定める教育目的を否定する行為であり、具体的に教育内容を定めた学習指導要領に明らかに違反する行為です。


第4に、根拠のない、誤った歴史が事実かのように多数、書かれています。いくつか例を見てみます。


(i)ゲンは、「天皇陛下のためだという名目で日本軍は中国 朝鮮 アジアの各国で約三千万人以上の人を残酷に殺してきとるんじゃ」と、三本の指を突き出して糾弾しています。この数字には何ら学術的根拠はなく、中国共産党プロパガンダの数字に過ぎません。ちなみに東京裁判で国民党政府は、軍人の死傷者を320万人としていました。


(ii)また、日本軍に対し「わしゃ日本が三光作戦という殺しつくし、奪いつくし、焼きつくす、でありとあらゆる残酷なことを同じアジア人にやっていた事実を知ったときはヘドが出たわい」とも罵倒しています。しかし、「光」という漢字を「しつくす」という意味で使う用法は日本語にはありません。「三光作戦」は中国にある言葉と事実であって、そもそも日本では言葉からしてなく、そうした作戦の事実は日本軍にはまったく存在しておりません。


(iii)さらに原爆投下の問題では「原爆の破壊力と惨状がなかったら、戦争狂いの天皇や指導者は戦争をやめんかったわい、日本人は広島、長崎の犠牲に感謝せんといけんわい」と言っています。しかし日本は、原爆投下のはるか以前から終戦のための和平工作を始めており、このセリフは事実に反しています。また終戦をもたらした原爆に感謝すべきだというのも、歪んだ歴史のとらえ方です。天皇が和平に努力したという実際の史実にも反しています。


(3)『はだしのゲン』の教育現場からの撤去を求める要請


以上の問題点から、『はだしのゲン』は、真っ向から、教育基本法、学校教育法に定める教育目的、及びその目的の下に具体的に教育内容を定めた学習指導要領の規定に違反していることは明らかです。したがって文部科学省にあっては、教育基本法、学校教育法に基づき、次代を担う健全な国民の養成を目指して子供の教育を行っている教育現場にあって、性に関する有害図書、暴力に関する有害図書と同様、教育の目的に反する有害図書として、『はだしのゲン』を教育現場から速やかに撤去すべく、全国の教育委員会及び学校に向けて指導されるよう、強く要請いたします。



⇒「つくる会」が断固支持id:dempax:20130831




*1:「全国学図書館協議会図書選定基準」 20 まんが を挙げて学校図書館選書の基準であるかに仄めかすが…デマ