つかこうへい『娘に語る祖国『満州駅伝』-従軍慰安婦編』(光文社1997/03/05)を初めて読む(これまで読まなかったのは、歴史改竄者の宣伝にあたしが汚染されていたから)
古書価3900円*1
p.151 より
いいか、嫌がる女を無理矢理連行し、抵抗したら傷つけ殺し、病気持ちにさせておきながら変な情けをかけた日には、大日本帝国は根底から揺らぐ。この戦争が終わったあと、'あれは狂っていたんだ、だからあのことは仕方なかった'そう言い切らなければならんのだ。それにはな、愛だ恋だを芽生えさすだけの理性などあってはいけないんだ。でなければ、大日本帝国が根底から揺らぐ!!
p.11 より
作家は、人間の、あるいは世の中に希望を見いだすのが仕事です。
人間は本来素晴らしいものだ、という性善説をとり続けなければならないとパパは思います。そして、その時代に生きている人がぶつかる問題に一緒に立ち向かわなければなりません。
作品に取り上げる素材やテーマの中に、たとえそれがどんなに辛いことであっても、それがどれほど悲惨なことであっても、どこか一か所でも希望を見つけないと書いてはいけないのです。
どんな悲惨なこと、不幸なことを取り上げても、最後をハッピーエンドにする力のことを作家の才能というのです。
パパは今までそう信じてやってきましたし、今まではそれを実現していた、と思います。
中学や高校の先生がどのような教え方をするのか分かりません。きっと戸惑っている先生もいることでしょう。パパは学校の先生でもありませんし、歴史学者でもありませんから、どっちが正しいのか、間違っているのか、言うことはできませんし、言う気もありません。なぜなら、パパが読んだ本や資料や取材した人の話は一部に過ぎないと思うからです。【p.53(相手の立場への想像力を教養と言うのです)】
*1:あまぞんニヨル