帰れ釜山港へ

帰れ釜山港


花は咲いても 心は寒い
あたしは釜山のさみしいカモメ
声をかぎりに叫んでも
波が冷たく かき消すばかり
帰れ釜山へ 同胞[きょうだい]たちよ


昔さがして さまよう街は
あの日を忘れて ざわめき笑う
みんな運命[さだめ]の船に乗り
つらい明日へと 流れて行った
帰れ釜山へ 同胞たちよ


【出典:佐藤信<廃都よ沈め/李礼仙リサイタル上演台本>『新劇』1983/01 p.128】