『自然と人間』2004/12月号 特集 2004年の「言論の自由http://www.n-and-h.co.jp/

  • 「治安」が自由を駆逐する 山口正紀インタビュー NGO「人権と報道・連絡会」世話人としてメディアと権力を監視し続けるジャーナリスト・山口正紀さんに, 2004年のメディア状況について聞いた.
  • 今年も妄言は大豊作でした! 最近の傾向として, 政治家などの妄言はどんどん増えているが, 量が増える反面で質が落ち, 脊髄反射で(=脳を経由せずに)発言しているようなものばかりになった. ブッシュ再選後の世界情勢を見れば, たぶん来年も大豊作であろう. (早川タダノリ [*1])


中央公論』2005/01月号 vol120(No.1) http://www.chuko.co.jp/koron/

特集 昭和の戦争とメディアの責任

  • 対談 佐藤卓己[*2] 原 武史 言論統制, 天皇制, 戦後責任, 占領期 ……日本言論界の沈黙の過去を検証する
  • 山本武利 GHQの迷走が問題をうやむやにした 責任は結局, 問われなかった
  • 川上和久 週刊誌, ワイドショーの暴走がもたらす現代のリスク 規律なきメディアと統制の芽

丸川哲史『帝国の亡霊 日本文学の精神地図』[*3] 丸川哲史『帝国の亡霊 日本文学の精神地図』2004 年11月、青土社。旧日本軍の「労工狩り」で中国から連行されて北海道で強制労働させられ脱走、敗戦を知らぬまま13年間も「逃亡」生活を続けた劉連仁さんにふれ、【戦後の日本は、戦前戦中の価値観を否定した新しい文化国家としてのアイデンティティーを持とうとしていた。それはいわゆる保守派の陣営にしてみれば、自分たちが一九四五年以降の国際秩序において生き残るための言い訳であったし、また広義の左派においても、「新しい文化国家」のイメージは理想像として信じられようとしていた。ただこの劉連仁氏の事例から推察されるのは、戦後日本とは、かつての日本帝国の「腐敗」した形であったということである。〔……〕/ハート/ネグリの言う「帝国」の「腐敗」のあり様として、改めて戦前・戦後の日本を眺めることはできないだろうか。ただ戦後日本は、「復興」から「高度成長」を通じて、露ほども「帝国」の衰退として己の姿をイメージして来なかった。日本の「戦後」という契機が、いわば〈帝国〉日本をリセットしたものと観念されたからである。しかし実際には、日本の戦後は矛盾だらけであった。日本の「独立」を決定したサンフランシスコ講和条約には、中国、朝鮮半島の代表は参加していなかった。しかし戦後日本は、その内部に何ら矛盾を抱えていないかのように「進歩」してしまった。現実には、矛盾のない「進歩」などあり得ないのに。/そして今日、日本の政治家たちの間で、アメリカ合衆国の世界戦略を補完する憲法改正が現実化されようとしていることは示唆的である。その中で、岸信介の親戚筋に当たる末裔(亡霊)たちが政権中枢で活躍しており、またアジア政策にも強い牽制力を発揮している。そして多くの日本人は、そのような連続性を「腐敗」として感じていない。かつて一九四〇年代後半、竹内好が日本が近代化の優等生となったことが自分たちの失敗(敗北)を失敗(敗北)として認めない遠因となっていた、と述べていたことが思い出される。今日の日本は、単純な経済ヘゲモニーから言っても、もはやアジアに対して「優等生」でもいられなくなった。その意味からも、日本は現在、まさに衰退の運命を意識せざるを得なくなっている。今必要なことは、その衰退の過程に有効に介入する知的実践の契機を掴むこと、そしその実践のため再び歴史に参入することである。】最近の読書録 2004/12/13 http://www.linelabo.com/books.htm


川島高峰『流言・投書の太平洋戦争』(講談社学術文庫 2004/12/10 \1,100+税) http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1596888

内容紹介 -- 『特高月報』, 内務省警保局報告書など克明な治安史料で明かす戦時下の世相と民心

戦時下, 前線に赴く兵士を見送った家族が死守した銃後の本土日本. 深刻な食糧不足や激化する空襲のなか, 人々は何を考え, 何を感じていたのか. 厳しい言論統制を行い, 国民の日常会話も監視した治安当局は, 民衆の流言蜚語や不穏投書を克明に記録した. 『特高月報』等のこれら治安史料と日記を駆使し, 庶民の心情と実態に迫る異色の戦時下日本の歴史.


林光『私の戦後音楽史 楽士の席から』(平凡社ライブラリ 2004/12 \1,600+税) http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=76_521

日本の戦後音楽を代表する作曲家・オペラ実践家である林光の若き日々の自伝. クラシックから出発した林が激動する社会に向き合い, 独自の音楽を作曲し始める過程を丁寧に語る. 解説 三浦雄士

流言・投書の太平洋戦争 (講談社学術文庫) 私の戦後音楽史―楽士の席から (平凡社ライブラリー)



book off ほか にて

  • 洞富雄『近代戦史の謎』(人物往来社 1967/10/05) 古書価 \525.-
  • 別冊宝島334 トンデモさんの大逆襲 - 超科学者たちの栄光と飛躍』(宝島社) 古書価 \105.-
  • 田中克彦『草原と革命 モンゴル革命五十年』(晶文社 1971/06/20) 古書価 \700.-
  • 田中克彦『モンゴル 民族と自由』(岩波同時代ライブラリNo.113 1992/06/15) 古書価 \500.-
  • 日本映画テレビプロデューサ協会編 寺田近雄監修『目で見る日本風俗誌 2 昭和の陸軍』(日本放送出版協会 1980/12/20) 古書価 \945.-

*1:早川タダノリHP 虚構の皇国 http://tadanorih.hp.infoseek.co.jp/ 週替わり皇国画像倉庫 / 今月のオコトバ = 世にあふれる暴言・妄言・放言・呆言の数々を、性懲りもなく拾ってゆきます。/ 皇国皇国トンデモ本 + ウラ皇国皇国トンデモ本 = 日本のトンデモない本 = 皇国トンデモ本。戦時下に流布された、数々のトンデモな言説を紹介します - ≪いわゆる「決戦下」の婦人誌は、「必勝の耐乏生活」「勝利の頑張り生活」「戦う育児生活」などなど、特集タイトルを見るだけで、泣けてくる≫ http://tadanorih.hp.infoseek.co.jp/tondemo/tondemo01.htm 鬼畜米英を打ち倒せ http://tadanorih.hp.infoseek.co.jp/wekly/weekl03.htm

*2:柏書房HP http://www.kashiwashobo.co.jp/ 連載・特別寄稿 佐藤卓己『毒書亡羊記』; 佐藤卓己 HP http://www12.plala.or.jp/stakumi/

*3:http://www.seidosha.co.jp/isbn/ISBN4-7917-6157-X.htm

*4:ハードカバー 初版は1972/3/25