図書室でみつけた本から

工場の図書室にみつけた教科書『情報科学講座 論理数学I』(共立出版 1975/03) [*1] 月報No.34(1975-3) 相沢輝昭「さまざまな論理」を参照して.


問い : [*2]

  • 赤い札 3枚 と 白い札 2枚からランダムに 3枚の札を 抜き取り, a,b,c 3人のひたいに貼り付ける. [残った 2枚の色は 3人にわからない]
  • 各人は 自分のひたいの札の色はわからないが, 自分以外のふたりの札の色がわかる.
  • 自分以外のふたりが 白い札 (2枚しかない) であれば, 自分の札が赤であることがわかる.
  • まず a に尋ねると「わからない」と答えた. 次に c に たずねると「わからない」と答えた.
  • ここで, b に 自分の札の色がわかったのは何故か?

答えと解説 :

b は ≪b の札が白であれば, a|c は自分の札の色がわかる≫ ことを証明した.


対偶をとると a&c共に「わからない」→ 「b の札が白」ではない


証明 : ≪b の札が白であれば, a|c は自分の札の色がわかる≫ b の札が白である組み合わせ [1][2][3] の場合に

  • (R,W,W) : 問題文の太字のとおり, a は自分の札の色がわかる [1]
  • (W,W,R) : 問題文の太字のとおり, c は自分の札の色がわかる [2]
  • (R,W,R) : a の答え「わからない」から c は 『(R,W,W) 自分の札の色が白』でないことがわかる [3]


解説後半では c の答え「わからない」が 論理的推論からでた答えでない (c が賢人ではない) 場合 -- この時[3]が除外できない可能性有り -- を検討する.

  • (W,R,W) [4]
  • (W,R,R) [5]
  • (R,R,W) [6]
  • (R,R,R) [7]
  • [3]が除外できない場合, [3][4][5][6][7]の 5とおりの可能性があって, b の札が 赤である確率は 4/5となる.
  • [3]が c さんによる論理的推論によって除外されれば, [4][5][6][7] 4とおりの可能性があり, b の札が 赤である確率は 4/4となる.
  • だから c の論理的推論能力を疑う場合にも b の札が赤である可能性が高い. と解説されている. [*3]
  • この短いエッセーは≪さまざまな論理学≫の標題どおり, あいまいさ=いいかげんさを含む論理学などの 可能性を紹介する内容.

*1:論理数学II,III は論理回路の実現方法, I は 記号論理/論理数学の教科書

*2:札の色, 答える順番 a→c→b は id:dempax:20041123 にそろえた, 帽子と札は同じものとして読んでほしい

*3:[4](W,R,W)の組み合わせならば b の札の色が赤であることは自明 は母数に入れるべきなのか 疑問はあるが