新教育委員に高坂節三氏

民主法律家協会 事務局長日誌 2004/11/18 記事

新教育委員に高坂節三氏

高坂節三という財界人がいる. 出自は正しく, 父は哲学者高坂正顕, 兄は政治学高坂正尭. そして自らの経歴は, 元伊藤忠商事常務, 元栗田工業会長. この人が, 国分正明氏の後任として東京都の教育委員になるという. 文部官僚(事務次官)から財界人へのバトンタッチ.

実は, この人には注目していた. 財界の改憲派スポークスマンとしてである. この方, 元経済同友会憲法調査会委員長. 今は同会の「憲法問題懇談会委員長」だという.
経済同友会改憲のボルテージは異様に高い. 例えば次のごとし.
「国会に漸く憲法調査会が設置された. しかし, そこでの審議のペースは激動する世界の動きに比していかにも遅く, また必ずしも国民的論議の高まりにつながるものともなっていない. 衆参両院における調査会の活動を, 国民レベルでの活発な議論を促す方向に向けていっそう活性化し, 加速することが必要である. そのための具体的なステップとして, 国民的合意が得られることを前提に, 遅くとも2005年までには憲法改正に必要な手続きがとられるよう, 調査期間を現在の5年から3年程度に短縮することが望まれる」(経済同友会憲法問題調査会意見書)

この人は, いろんなところで財界の改憲派として発言している.
例えば, 以下は「デイリー自民」(03年5月22日)
憲法問題について経済同友会から意見聴取 国家戦略本部
国家戦略本部は22日, 経済同友会憲法問題調査会の高坂節三委員長を招き, 同調査会が4月にまとめた憲法改正の意見書についてヒアリングを行った.
高坂氏は『憲法の規定と現実の乖離(かいり)はだれが見ても明らかだ』と憲法改正の必要性を強調, 9条については『自分の身は自分で守るということを国民が理解しなければいけない. 自分の身を守る意思がないと, 『平和主義』が逃げ口上だとしか見られなくなる』と自衛権を明記すべきとの考えを示した」

また, 2002年5月3日の「民間憲法臨調はかく主張する!−提言・憲法改正への視角−」なる集会では, 三浦朱門氏・佐々淳行中西輝政坂本多加雄とともに, 改憲の「提言者」ともなっている.

改憲派財界人を教育委員に据えようという石原都政の意図をどう理解すべきだろうか. まだよく見えては来ないが, 少なくとも憲法9条改憲と「日の丸・君が代」強制とが同根であることを示すことにはなる.

高坂節三, おそらくは学識も教養もある人なのだろう. 石原慎太郎米長邦雄のような粗暴派とはひと味違う相手となる. ン, まてよ. 学問も教養もある人が, 石原慎太郎米長邦雄・鳥海巖などと歩調を合わせられるものだろうか.