消されようとしている生命


被告たちの切実な訴えと,人権を守る弁護団や国民の運動がようやく効果を奏して,無実の被告たちを司法殺人から守ったことは,八海事件の輝かしい成果であった. しかし同じような事件が,八海事件と同じく山口県警管下で起こり,一,二審とも死刑の判決を受け,被告は必死に無実を訴えているにもかかわらず,近く最高裁で終審判決が下され,一人の生命が絞首台上の露と消える危険にさらされている


松川事件白鳥事件のように,思想的,政治的背景から,でっち上げが明らかな事件と違って,このような冤罪事件は革新団体もあまり取上げないし,有力な弁護士を雇う金もない名もない庶民の事件であるだけに,マスコミの全国版で報道されることもないままに,一人の生命が国家権力によって消されていくのである