『朝日新聞』1968/09/27 5-12【声(読者投稿)】安藤善紀(いわき市 土木工事 59) 広津さんを悼む

広津さんの訃にいくつかの新聞をひろげてみた.朝日新聞天声人語」で「わたしゃ夜咲く酒場の花よ…」が広津さんの作品「女給」によるものであることを,うかつにも初めて知った


「熱海の病院でひっそり」亡くなったという見出も悲しい. 淡々として,しかも超人的な精力で松川裁判に取組んだ広津さん,デモ隊に入って行進したこともあった. この初夏からは八海事件にまた新たな闘志を沸き立たせていた広津さん. その広津さんはもういない


この人の一生を顧みて,派手なポーズは決して見られなかったけれども,人間が生きてゆくということは,どういうことか,正義とは何かに,深い示唆を与えられてきた私であったように思う. この人に文化勲章をついに贈り得なかったことは,一つの悔恨ではなかろうか. もっとも贈らずじまいであったことに,もっと意味があるかもしれない