朝日新聞【1954/10/12(8面)千葉版「灯台」】 町民の疑問に答えよ


大原町・IS


9月12日付本欄に「忠霊搭建設に一言」と題し大原一町民からの投書要旨は「忠霊搭の建設を悪いことだとはいわぬが町民のふところ具合より推しても多額の金を使い大切な水田を埋立て建設の必要があるかどうか. しかも寄付とはいえ天下りの戸別割当である. よく町民の意見を聞いて企画せよ」というので最後に町議はどのような基礎条件でこの計画を立てたか回答されよというものだった


その後1ヶ月, これに対する回答が寄せられないのはどうしたことか. 中傷的字句もあったが, 素朴な町民の疑問だと思う. 町会は建設に至るまでのいきさつを知らせるべきだ. 町会は町民の意思の決定機関である. そこで決まったことは町民全体の意思だから黙ってついてこいというのでは不親切である


町民は町議に白紙委任状を渡したのではない. 常に町民と意思の流通を図り町会に反映させ, 町会の模様を知らせるべきだ. 大原町は封建色の濃い所であり町民は眠っている. かかる空気を破るためにも先ず町民が眠りから覚め自分の声をはっきりさせ, 町政に関心を持って自分のものにしなくてはいけない


この意味でもこの投書はそのよき芽生えとして取上げ芽を伸ばすべきだ. それが民主政治を司る人の重要な心構えだ. 人の質問に答えることは為政者の義務であり, 学者町長, 賢明な町議諸公も百も承知と思う. いまもって回答がないのは町民の一人として腹が立って仕方ない