紹介者の感想と正木ひろし「不道徳の淵源」抜粋

【わが国はまけました】と断言している点は,今時の欺瞞的な新日本語「終戦」でない点で良いと思うが,それだけだな.【平和をとなへる人々が力を失ひ】と自然現象かのような記述,原因と結果を示さず,責任者不在の他人事のような記述が何を隠蔽しようとしているかは明らかだろう. 以下,1946年4月の正木ひろしの雑文より,開戦の詔勅はなかったかに知らんぷり,ポツダム宣言受諾の「御聖断」をありがたがれというのは「天皇制護持」集団の常套手口だね,見出を「満洲事変」「支那事変」として,侵略戦争であったことを認めようとしないのだから,反省など出来るわけもない


天皇制護持論者は宣戦の大詔なるものを天皇の責任と云はずして,終戦の大詔のみを天皇の功徳としてあげつらふが,近衛公の遺書(『週刊朝日』1946/2/24)に依れば,公は昭和20年2月14日に天皇に拝謁し,敗戦必至を上奏している. それに対して天皇は「結局和を乞ふとも国体の存続は危く戦って行けば万一の活路が見出されるかも知れぬ」といふ参謀総長の言を引用して答へ,皇室存続の万一の活路を得る為に,日本国民は半ケ年間の地獄的大消耗戦に曝され,その間に今日見る如き日本内地一切の焦土化が行はれたのである … http://d.hatena.ne.jp/dempax/19460401


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家永三郎「新歴史教科書の特色」(初出)朝日新聞 1946/10/21 2面 学芸[欄] ⇒ 『家永三郎集14 評論3[歴史教育・教科書裁判]』岩波書店,1998/08/06 p.5-p.7http://d.hatena.ne.jp/dempax/19461021


家永三郎[*1]「くにのあゆみ : 編纂者の立場から」http://d.hatena.ne.jp/dempax/19470423


林基・石母田正「くにのあゆみ」批判 民主主義科学者協会歴史評論』No.2(1946/12)別冊特輯⇒歴史科学協議会『歴史科学大系31 歴史教育論』校倉書房,1994/08/15 p.69-p.80 http://d.hatena.ne.jp/dempax/19461215


宮本百合子「くにのあゆみ」について 『宮本百合子全集 16巻 文化・社会評論 1945-1951』新日本出版社,1980/06/20[古い全集] p.96-p.98 初出:『婦人民主新聞』1946/10/31 http://d.hatena.ne.jp/dempax/19461031


津田左右吉「建国の事情と萬世一系の思想」前文 http://d.hatena.ne.jp/dempax/mobile?date=19460610


中西功「科学性と神秘性/津田博士の「建国の事情と萬世一系の思想」 『日本読書新聞』No.348(1946/06/05) 2面 http://d.hatena.ne.jp/dempax/19460605




*1:家永の執筆担当は古代史 近現代は大久保利兼 ただし文部省担当者 有名歴史学者の分担がはっきりしない所がある