闘争方式の問題
現在の日本の民主主義革命の発展の特徴はその闘争方式をも決定している
結論的にいえば,それはきわめて平和的に広範な民主統一戦線を通じて大衆を動員して遂行することである
(1.) 革命の発展は前述のごとくけっして一挙に武力革命によって遂行されない点であり,それはある一定の順序をもって進行するが,日本の官僚国家機構が上から,つぎつぎに破壊されており無力化されている. これが今日の新国際情勢と結び付き,われわれの平和革命を可能にしている. 特に,「外」からの力により,国家機構,特に,軍閥と警察機構がよわめられているにもかかわらず,一般大衆はこれを利用して,自己の政治勢力を充分に増大していない. 今日の大衆のとにかく生きんがための日常闘争を指導し,基本的大衆団体 -- 労働組合,農民組合等を急速に組織することである. この平和的な闘争において総選挙闘争は重大な意義をもつ
(2.) 反対に,今日のごとき事態において,民衆が自然発生的な「暴動」を起こしたとき,それは必ずしもわれわれに有利ではない. われわれにそれを指導すべき準備はないからである. むしろそれは残存軍閥およびファシスト分子によって各個撃破的に打破られ,われわれの力を弱化する
今日軍閥,独占資本共は「共産党が暴動を煽動する」と称して,暴徒の行動を共産党の罪になすりつけ,その機会に共産主義を弾圧し,民主主義運動を弾圧せんとしているのである. われわれはその手に乗ってはならないのだ
(3.) 現在の日本の経済状態は,じつに特殊的事態である. 国民は飢えているのだ. しかもこの生活危機に際して,大資本と富農の一部は必需品の生産および供出に対してサボタージュに出ている
われわれとしても平和生産の増大は緊急に必要である. これを無視するものは国民の敵である. 都市と農村を対立させ「供出やめろ」等と説くものは都市人民大衆の敵である
労働者は自己の生活を改善し,賃金引き上げを要求し,労働組合を結成し,団体契約権を戦いとるとともに,大衆の生活必需品の生産増大に対しても切実な関心を持つのである
ゆえに,石炭の増産に対しても,われわれは切実な関心を持っている. しかるに大資本家共は自己のサボタージュを棚に上げ,労働者がストライキをするから,石炭が不足し,国民生活が危機に立っているのだと,ホザいている. また共産党が労働者を煽動するから国民は困るのだと説き,国民をして共産党に反対せしめようとしている
ゆえに従来のごときストライキ方式にも充分考慮を必要とするのである. われわれはストライキに立つと共に,その企業を,その管理下に置き,生産をつづけ国民に寄与するだけの考慮が必要なのである. 供出の問題も同様である
かくてその闘争方式も従来とは一変している
天皇の存廃を人民投票にかけるという形式も,このなかから必然に生れるものである
かくて一方では,大衆の日常闘争を指導して,大衆を最大限に組織し,他方では議会闘争の新意義を充分に理解し,闘争をきわめて平和的に大衆的に展開すると共に,今日の新しい闘争方式を学びとることが必要である. しかもこれは,広範なる統一戦線政策と不可分である. 融通性のある柔軟な活動方式を学びとることが必要である