国民精神総動員資料第四輯 文部省『日本精神の発揚/八紘一宇の精神』

むすび=結論


【八】むすび


以上に於て、我々は先ず民族・国家の興亡と世界の流転の相を眺め、これより必然せる世界的不安なるものの根柢に思を潜め更に之を救ひ導く光として、生成不易の國日本、八紘一宇の國日本の精神を究明し、且之を昂揚(かうよう)するところがあった。次にこの精神に立脚して、我が國が直面せる非常時局の由来と支那事変の意義とを考察し更にこの時難(じかん)に対する皇國の使命と銃後に処する我等の覚悟とに就いて自省自戒するに及び至つたのである。


かくて言々説き来るところは多しといえども、之を約すれば次の一句に窮(きは)まる


「八紘一宇」の御旗の下に決起せよ


この一片の丹心、烈々として全国民一人一人の胸に燃えさかる時、国民精神総動員は天地をも揺るがす真の迫力をもち、この時難を克服することが出来るのである。大君のしこのみ楯として砲煙弾雨の戦場に身を曝す皇軍諸氏はもとより、銃後に於ける思想・文化・教育・金融・生産・内治・外交等の武力以外の国防の第一線に立つ全国民が、一人も洩れなく、この「八紘一宇」の御旗の下に、真に打つて一丸(いちぐわん)となり万死猶甘しとして進むところ、遂に敵なく、一草一木の微に至るまで皇化に靡きまつろひ、かくて新たなる世界の曙光は極東日本より登り出ずるであらう。

起て!国力総動員のために!

翻せ!八紘一宇の御旗!