島根県議会

午後1時3分再開

○副議長(福間賢造) それでは、会議を再開いたします。
 引き続いて一般質問を行います。
 成相議員。
 〔成相安信議員登壇、拍手〕

○成相安信議員 一般質問を行います。
 質問の第1は、知事の政治姿勢についてであります。
 その一つは、従軍慰安婦問題についてであります。
 韓国、中共における、いわゆる歴史問題の政治利用は、近年看過できないほど先鋭化し、度の過ぎる極端な行動や主張が繰り返されてきています。
 特に韓国は、昨年来、慰安婦問題を再びターゲットにして国家事業のように展開しています。李明博前大統領、朴槿恵大統領、そして潘基文国連事務総長などの指導者はもとより、スポーツ界や言論界の異常な言動や偏向ぶりも著しく、こうした妄動をいさめる言論の自由も見られません。
 最近では、昭和40年、既に日韓基本条約で完全かつ最終的に両国間で解決済みの戦時補償について、韓国の高等裁判所は日本企業に対し、戦時中の徴用工への個別補償を命じる判決を言い渡しました。外交的に問題とされていなかった慰安婦問題も、盧武鉉政権はこれをあえて適用外にして蒸し返し、国家賠償に関して韓国政府が日本と交渉しないのは違憲とする憲法裁判所の判決につながりました。協定や条約を事実上破棄するような無法がまかり通れば、国家間の合意など意味をなさなくなります。
 長崎県対馬市の観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像をめぐる韓国司法のでたらめな判決にしろ、親日派の財産を没収する法律を認めた憲法裁判所の判決にしろ、国際社会ではとても考えられない判断が、なぜか韓国ではまかり通っており、日韓関係はさらに混迷し、悪化の一途をたどっています。
 日韓両国民の胸のうちにある良識は信じつつも、反日教育やゆがんだ歴史教育を背景に、反日世論が意図的に増幅され、中韓関係が事大主義と華夷思想の先祖返りをしてるかのような様相を呈している現状では、中共、韓国への対応をしっかりと修正すべきときが来ていると感じるものであります。
 知事は、こうした最近の韓国の日本に対する動きをどのように受けとめ、また日本のとるべき態度についてどう考えておられるか、伺います。
 慰安婦問題は日韓間にとどまらなくなってきており、カリフォルニア州グレンデール市では、韓国系住民の働きかけで、私は日本軍の性奴隷でしたと記された性奴隷像が韓国から運ばれ、その除幕式が行われました。市議会公聴会では、韓国系をはるかに上回る80人もの在米日本人が初めて慰安婦像建設反対の意見表明を行ったにもかかわらず、肝心の日本政府はグレンデール市に建設反対の意思を伝えず、マスメディアも黙殺したと言います。それどころか、ロサンゼルス総領事館は日本人の反対運動をいさめ、韓国側の感情を逆なでしないようにと注意したと言います。
 慰安婦像設置の推進役で市議会議員のキンテロ氏は、日本の総領事館は我々のやってることを承認も反対もしていない。河野談話で日本も認めている。日本人の大多数は私と同じ意見であると思う。興味深いのは、日本の宝塚、福岡など36都市が慰安婦について決議を行っていることだと述べたと言います。現地の多くの日本人はこの発言に屈辱感を味わい、河野談話の呪縛を感じたと言います。
 そして、この慰安婦像の設置の直前の6月26日、我が県議会は、日本軍慰安婦問題への誠実な対応を求める意見書を、反対1、棄権1、賛成33で可決。全国都道府県議会中、京都府議会に次いで2番目となる決議を行い、36市とともにその名を連ねたのであります。
 早速、韓国大邱地方弁護士会は、元従軍慰安婦とされるイ・ヨンス氏を伴い、今回の意見書採択に大きな力添えをした県議会議長を訪問し、あわせて決議文採択を促した新日本夫人の会会長などにも会い、意見書採択を歓迎し激励したいと表明。島根県を訪問することにより、他の自治体でも同様な決議文の採択を広げ、独島問題の解決にもつなげる契機になるとして、先月、訪問が行われたのであります。

 一方、国内では、県議会の誤った歴史認識が韓国の反日カードになり、韓国の応援団になっていることが許せないなど、批判や反発が広がっています。知事は、内外のこのような流れ、動き、批判をどう見ておられるのか。性奴隷は実在したとお考えでしょうか。軍による強制連行は本当にあったとお考えなのか伺います。

 外務省は、侵略と植民地支配を認めた村山談話河野談話を持ち出して、日本はこんなに謝罪していると説明するばかりで、慰安婦は性奴隷ではないと明言せず、歴史認識問題で歴史の捏造に踏み込んでの議論を避けるのが常だと言います。ジャーナリストの山際澄夫氏は、日本を、そして在米日本人をこうした苦境に立たせているのは、靖国参拝南京大虐殺慰安婦などの歴史問題を捏造して、日本をたたき続けた朝日新聞、NHKを筆頭とする日本のマスメディアであり、自国をおとしめる政治家なのだと訴えています。戦うべき相手は韓国人というより、日本にいる反日的日本人だというわけです。

 米国の韓国系団体は、グレンデールを含め5件となった慰安婦碑を全米で20カ所以上に建てると宣言していると言います。反対の矢面に立って訴え続けてる在米日本人の一人は、在米日系人、日本人の苦境を訴え、日本が一丸となって彼らの雪辱を果たすように訴えかけています。

 知事は、これまで河野談話は政府見解として踏襲されてきており、自分も何ら意見を異にしていないと述べてこられました。本当にそのような主張でよろしいのでしょうか。反日勢力を恐れて事実が言えないようでは、我が県議会だけではなく、県民挙げて慰安婦問題は韓国に賛成し了解したと受けとめられかねません。山際氏の言うこのような主張についてどのように考えておられるのか、知事に重ねて伺います。

 その2つは、学校図書の閲覧制限についてであります。

 原爆の悲惨さを訴え、反戦を主題とするマンガ「はだしのゲン」は、学校図書として閲覧制限の要請を受けたものの、一部マスコミなどが大きく取り上げたため、瞬く間に全国問題となり、ほどなく松江市教育委員会事務局の手続不備を理由に、要請を撤回することで決着を見たのであります。市民から内容が一部過激な表現があるとの指摘を受け、教育的配慮を示す判断であったはずのものが、知る権利や表現の自由を侵害するなどの意見に押され、子どもにどう歴史を教えるかという肝心な点は置き去りにしたまま早々の幕引きとなったのは、ここでも朝日新聞やNHKなど閲覧制限の撤廃を早急に求めるマスコミの一大キャンペーン圧力によるものとの批判があります。教育委員長はどのように感じられましたか。

 残虐な表現の問題に加え、君が代なんか誰が歌うもんかクソクラエとか、いまだに戦争責任をとらずにふんぞりかえっとる天皇、最高の殺人者天皇などと、国旗・天皇を強く批判する場面は、学校教育法の趣旨に反しているとの強い批判が起きています。「ゲン」は、その第2部作目から日本共産党機関紙「文化評論」、左派系オピニオン雑誌「市民」、日教組機関紙「教育評論」などに次々掲載され、反日的なイデオロギー色を一層強めていったとの見方もあります。

 どうであれ、市の教育委員会裁量権がこのような形で介入されたことが最も根深い問題だと感じています。何も韓国のように発禁処分にしようとするわけではなく、学校が推奨する図書として問題があるとの見解で閲覧制限をしただけのことなのですから、市教育委員会は批判に動ぜず、じっくり本質的な議論を重ねてほしかったと思うものであります。知事の見解を伺います。


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○副議長(福間賢造) 溝口知事。

 〔溝口知事登壇〕

○知事(溝口善兵衛) 成相議員の御質問にお答えを申し上げます。

 議員からは、冒頭、日本と韓国との間の歴史問題をめぐっての韓国内、米国内での動きのほか、日本人ジャーナリストの主張など、いろいろな御指摘がございました。こうしたことに対する所感いかんという御質問でございます。

 こうした問題につきましては、韓国、日本それぞれにおきまして、それぞれの個々人の方々の考え方あるいはお立場などで、さまざまな意見、主張があるのが現実であろうというふうに思います。そうした意味で、それぞれの方々の立場での意見、活動に対しまして私がそうした情報などを十分確認できるわけではありませんので、私から所見を申し述べることは難しいと考えております。

 また、日韓間の御指摘のような問題につきましては、宮澤内閣以降、歴代内閣で踏襲されております政府見解がありますが、私も政府見解と異なる見解を持っているわけではありません。このことは、これまでの議会答弁でお答えをしておるところであります。

 いずれにしましても、日韓両国はそれぞれにとって大事な隣国でございます。島根県竹島問題を含め、さまざまな問題につきまして両国間で冷静に話し合いができるよう、政府において粘り強い取り組みをこれからもお願いをしたいというふうに考えておるところであります。私どももそうした政府の対応を支援しつつ、あるいは後押しをしつつ、あるいは我々自身としても必要な活動を行ってまいりたいと考えておるところであります。

 次に、学校図書館の閲覧問題についての松江市教育委員会の対応についての御質問がございました。

 小中学校の教育のあり方につきましては、それぞれの市町村の教育委員会が担当しておられるわけであります。今回の問題につきましては、松江市教育委員会におかれましてさまざまな観点から議論をされ、今回の方針を決定されたものであります。今後、松江市教育委員会と現場である学校とがよく話し合いながら、協力して学校図書館を運営し、子どもたちの読書と学習の場として一層充実されるよう望むところであります。

 次に、日中、日韓間でいろいろ問題となっている今日的課題解決に向けた県立大学の情報提供体制でありますとか、あるいは大学における研究テーマ選定の要請、協力についてどのような方針で臨むかという御質問でございます。

 県立大学の研究は、それぞれ総合政策学部の課程あるいは大学院の研究科、あるいは大学の研究機関であります北東アジア地域研究センターなどで研究が行われておるわけであります。そして、そこにおける研究成果は、専門的な評価や地域の評価を受けることができるように公表がされております。公表方法は、論文発表、学会での報告、大学ホームページへの掲載、著書の刊行、国内各地や韓国、中国での講演、シンポジウム等の開催など、さまざまな方法で実施をされておられます。また、研究テーマにつきましては、基本的に大学の中でそれぞれの先生方が自主的に検討して選定をされておられるわけであります。

 次に、県の施策への協力について御質問がありましたが、現在、北東アジア研究に関連し竹島について研究されている先生に、島根県竹島問題研究会の委員を務めていただくなど、大学の先生方の御了解を得て、同意を得て、県の施策にも協力をしていただいておるわけであります。



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○副議長(福間賢造) 土田教育委員長。

 〔土田教育委員会委員長登壇〕

教育委員会委員長(土田好明) 松江市教育委員会の対応についての御質問にお答えいたします。

 今回松江市教育委員会においては、「はだしのゲン」の取り扱いについて、要請前の状態に復することが妥当であり、復した後の取り扱いについては学校の自主性を尊重するとの決定が行われました。これは教育委員の皆さんが、現場の学校等の意見や各方面での議論等も踏まえ、慎重にまた真摯に議論を尽くされ、市の教育委員会としての考え方を示されたものだと理解しております。この考え方を踏まえ、今後各学校において学校図書館の運営が適切に行われていくものと考えております。



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