田村泰次郎『春婦傳』GHQ検閲「理由:朝鮮人批判」により削除された冒頭部

この一編を、戦争間大陸奥地に配置せられた日本軍下級兵士たちの慰安のため、日本女性が恐怖と軽侮とで近づかうとしなかつた、あらゆる最前線に挺身し、その青春と肉体とを亡ぼし去つた数万の朝鮮娘子軍にささぐ

出典: 『田村泰次郎選集2/応召から敗戦直後まで』(日本図書センター 2005/04/25)


田村泰次郎選集 (2) p.360 解題より


田村泰次郎選集 (4) 選集4-戦争文学の試み


関連図書


尾西康充『田村泰次郎の戦争文学/中国山西省での従軍体験から』(笠間書院 2008/08/30)


田村泰次郎の戦争文学―中国山西省での従軍体験から




宮柊二宮柊二集1/歌集1』(岩波書店 1989/11/07 ISBN:4000914715 )「山西省




岡野幸江/長谷川啓/渡邊澄子『買売春と日本文学』(東京堂出版 2002/02/28 2500円+税)[*1]


買売春と日本文学


p.218 渡邊澄子「身も心もささげる「大和撫子」-田村泰次郎の戦争文学」




■ 『選集2』に「GHQ検閲資料」英文3頁「CIVIL OKNSORSHIP DETACHMENT / PPB DPstrict I,Press-Publications JP/TOK/PPB/o/52 22 May 1947」があり「REASON : Criticism of Koreans.」とされています


解題より以下、転載


「春婦傳」は「日本小説」創刊号(1947年4月1日発行、大地書房)に掲載予定であったが、GHQの検閲によって削除された。GHQによれば、削除の理由は'Criticism of Koreans'(朝鮮人への批判)であった。泰次郎のオリジナルの本文では、作品に登場する慰安婦は春美を含め、「みんな本当の朝鮮の名前があるのだつたが、いづれも故郷の家の苦しさのために、天津の曙町へ前借で買はれてきてから、日本名をつけていた」と.彼女たちが朝鮮人であったことが明確に書かれている。また成田中尉は春美に向かって「馬鹿野郎、たかがチョウセン・ピイの分際で、なにをいふか」と暴言を吐いている。だが改稿の後、「朝鮮の名前がある」「チョウセン」の部分が削除されており、彼女たちが朝鮮人であることが特定できないように曖昧な表現になっている。戦場の実情を伝えようとした泰次郎の文字を[原文ママ]理解する手がかりの一つとして、この検閲調書は重要な意味を持つと思われる。なお本資料は、国立国会図書館憲政資料室所蔵のプランゲ文庫に拠った。 [*2]


=参考リンク(随時、追記)=


http://d.hatena.ne.jp/Stiffmuscle/20130531#p1 [*3]



□[*4]誰かの妄想2013/06/01 http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130601#1370101032



国連人権高等弁務官事務所拷問禁止委員会 http://ianhu.g.hatena.ne.jp/kmiura/20130601



河野談話撤廃を求める緊急国民集会 [*5] http://twtr.jp/frroots/status/340884792943984642



you tube 鈴木清順監督『春婦傳』
http://m.youtube.com/watch?hl=ja&client=mv-google&gl=JP&v=YXwGs9ZeJFQ&page=1



□ツィート幾つか [*6]


TAKAHASHI Sakino :


http://twtr.jp/sakinotk/status/336791372654866432 [*7]


http://twtr.jp/sakinotk/status/339738725238059009


http://twtr.jp/sakinotk/status/339738148135391234



釜パトでっせ :


http://twtr.jp/kamapatodesse/status/340675539306172416


http://twtr.jp/kamapatodesse/status/340677444975616000


http://twtr.jp/kamapatodesse/status/340680013651267584



野原 :


http://twtr.jp/noharra/status/340755282370117632


http://twtr.jp/noharra/status/340756737332240384


http://twtr.jp/noharra/status/340761150163668992

*1:2013/06/04追記

*2:2013/06/01追記

*3:俺様ルールに従え、は、橋下だけでもない/苦笑/何が問題にされているか理解できないことを自慢するのは御本人の自由ではありますが…/次は不可知論をほのめかす/証拠としては認めない、妄想垂れ流し/次は【無知自慢】お笑い系自称「中立の立場」を確保/不可知論に居直ってそろそろ打ち止めかな/『私の論点』…そんなものあるのかね【コメ欄の方を観察中】

*4:2013/06/02追記

*5:産經新聞記事←必読、へのリンク

*6:中途半端な紹介で申し訳ありません/2013/06/02追記

*7:この項を書くきっかけ、偶々、図書館から『田村泰次郎選集2』を借りていた、もある

宣撫班よりも女が先に行き

高崎隆治選著『教科書に書かれなかった戦争Part.11 川柳にみる戦時下の世相』(梨の木舎 1991/07/19)


教科書に書かれなかった戦争 (Part 11)



第5章 戦場の兵士 慰安婦・苦力・行軍・落書き より

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■篭の鳥いま大陸で荒れ廻り 磯部南泉【p.198】


新聞の特派員として漢口戦に従軍した作家の井上友一郎が書いている。


前線へ赴く途中のある夜、町でふと三味線の爪弾きを聴いた。不思議に思い近づいてみると、浴衣を着た女がひとり立膝をして三味線を弾いていた。「今晩は」と声をかけたところ、その容姿に似合わずいきなり伝法な口調で、「ここはお前たち軍属ふぜいの来るところじゃない」とわめいた。連れの記者が腹をたて、「てめえ自分が将校になったつもりで威張るな」と怒鳴り返したという。


将軍クラスの軍人が、水商売の女性をいわば妾として連れてきたのだろう。あるいは将校用の女性であったのかもしれないが、それでも依然として「篭の鳥」であることにかわりはなさそうだ。

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■宣撫班よりも女が先に行き 城鶴【p.199】


娘子軍一線までも進出し 城鶴



宣撫班は後方の占領地を担当する班と、第一線部隊に膚接して占領直後の町に入り住民を宣撫する班の二つがある。


この句は説明するまでもなく後者だが、宣撫班よりも早く占領地に入る「女」というのは戦場慰安婦のことで、日本軍は彼女たちを公認し引き連れていたのである。まったく、驚きという以外にないが、彼女たちの大部分は朝鮮人で、よいもうけ口があるからと、言葉巧みに騙されて連れてこられたのだ。中国では戦う女性兵士を娘子[じょうし]軍と呼んだが、日本の兵士が口にする「娘子軍」とは慰安婦のことである

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■珍しいものにされてるゴムバンド 梶原渓々【p.75】


いうまでもないが、ゴムバンドとは輪ゴムのことである。戦前は一箱5銭か10銭で文房具屋にいくらでも売っていた。もっとも、普通の家庭では買わなくても捨てなければ輪ゴムは自然にたまった。それが、アメリカやイギリスの経済封鎖でたちまち店頭から消えた。私事だが、日中戦争の初めのころ、競馬場の小窓に黙って手を入れると、どういうわけか輪ゴムをひとつかみ掌に乗せてくれるので、子供たちはそれを遊び道具に使った。


経済封鎖と同時に、ゴムは軍需専用となり、ガスマスクの管や代用軍靴の靴底などに用いられた。特に軍用コンドームの製造に優先的に使われたというが、子供の遊び道具をとりあげてそんなものをつくるようでは「大日本帝国」もおしまいである。

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■帰還した軍医が婦人科に勤め 以兆【p.222】

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関連図書


高崎隆治『教科書に書かれなかった戦争Part.14 「陣中日誌」に書かれた慰安所と毒ガス/特設第13師団第65連隊の後日譚』

梨の木舎1993/12/08


「陣中日誌」に書かれた慰安所と毒ガス (教科書に書かれなかった戦争)



高崎隆治『教科書に書かれなかった戦争Part.17 100冊が語る「慰安所」男のホンネ』


梨の木舎1994/12/08


100冊が語る「慰安所」・男のホンネ―アジア全域に「慰安所」があった (教科書に書かれなかった戦争)



高崎隆治編・解説『十五年戦争重要文献シリーズ【1】/軍医官の戦場報告意見集』


[目次]


解説:高崎隆治


戦場神経症並に犯罪に就いて【1938年孔版】早尾軍医中尉


花柳病の積極的予防法【1939年手書き】麻生幾男軍医少尉


武昌の柳(私娼の由来及現況)【1941年手書き】


写真資料10点/麻生幾男蔵


「軍人倶楽部に関する規定」(内務規定)【1944年12月ガリ版】山第3475部隊


不二出版 1990/02/20