古賀俊昭議員の発言の撤回と謝罪を求める 朝鮮人虐殺の国家責任を問

東京都議会に於る古賀俊昭議員の発言の撤回と謝罪を求める

2017/6/28

関東大震災朝鮮人虐殺の
国家責任を問う会



私たち「関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会」はさる2017年3月2日東京都議会第1回定例会の古賀俊昭議員の質問に於て 関東大震災朝鮮人虐殺について事実と異なる発言があつたこと それが韓国・朝鮮人に対するさらなるヘイト・スピーチをもたらしかねないことを憂慮し 発言の撤回と被害者遺族への謝罪を求める


古賀氏の質問は 1973年に関東大震災時の朝鮮人殺害を悼み東京都墨田区横網公園に建立された追悼碑に関するものである 古賀氏は質問の冒頭に於て「横網公園内に朝鮮人犠牲者を追悼する施設を設けることに もとより異論はありません」としながらも 結論に於ては追悼碑の撤去を求めている その理由は「誤った策動と流言蜚語のため六千余名に上る朝鮮人がとうとい生命を奪われました」(速記録からの引用 実際の碑文とは異なる)という碑文が「事実に反する一方的な政治的主張と文言」だからだという その上で 流言と六千余名の犠牲者数についての持論を展開している


流言について古賀氏は不法行為を働いた朝鮮独立運動家と 彼らに煽動されて追従したために殺害されたと思われる朝鮮人」がいたので「日本人自警団が過敏」となつたとする 周知の通り 関東大震災時には朝鮮人が井戸に毒を入れた,放火した,集団で暴行を働いている等の流言が流れ 新聞記事にもなつた しかし今日に至るまでそうした犯罪が実際に起こったことを示す史料は発見されておらず 犯人が検挙されたこともない つまり流言が事実であつたと証明する確実な史料はどこにも存在していないのである にもかかわらず 公の場で流言を事実だという前提で質問を行つた古賀氏の責任はきわめて大きい


次に 犠牲者数についてであるが 古賀氏が問題とする六千余名という数は 1923年12月5日付の『独立新聞』に掲載された「本社被虐殺僑日同胞特派調査員第1信」という関東地方を巡って朝鮮人犠牲者を調べた在日本関東地方罹災朝鮮同胞慰問団の報告書に記されているものである 古賀氏は六千余名という犠牲者数は根拠が希薄で「公的資料などによる根拠を求めるべきでありましたが 何せ共産党を中核とする革新都政でありましたから 相手の言うがままであつた」等と述べている しかし 1970年代当時「六千余名」という犠牲者数を記すことは 研究者や文学者を含めて一般的であつた 碑の建立と時を同じくして出版された吉村昭関東大震災』は 関東大震災を主題とした本の中で最も広く知られているが ここにも「六千人」は明記されている 碑にこの数が書かれたのは当たり前であり「革新都政」とは全く関係がない


ただし 正確な犠牲者数について確定するのが困難であることは事実である しかし それは当時の日本政府が 軍隊や警察が朝鮮人を虐殺した等の加害の実態を隠蔽したためである 例えば 司法省は233名という犠牲者数を公表しているが これはいわゆる自警団事件の一部に過ぎず 軍隊や警察が加害者であつた事件も省かれていることは歴史研究者によりすでに明らかにされている


古賀氏は「歴史の事実と異なる数字や記述を東京都の公共施設に設置・展示すべきではなく 撤去を含む改善策を構ずるべき」と述べて碑の撤去を求めている もし碑の文言に誤りがあるから撤去せよというのであれば 日本中の碑を点検し 誤りがあるものを撤去する必要があろう しかし 古賀氏がこの追悼碑を撤去せよと言うのは それが日本人の加害を記したものだからである


古賀氏の質問は歴史的事実の無理解と不勉強に基づくものである 震災時の流言蜚語そのままに「震災に乗じて凶悪犯罪が引き起こされた」などと確たる根拠もなく公の場で述べることこそ まぎれもなく「ヘイト・スピーチ」である 同時に 犠牲者同胞や発起人・募金者など碑の建立に関わった人々・碑を守り碑の前で犠牲者を悼んできた市民の思いを毀損する発言であることも強調しておきたい 私たちは 古賀氏が自らのあやまちを認めて発言を撤回・謝罪し 真に政治家としての責任を果たすよう求めるものである


2017/6/28

関東大震災朝鮮人虐殺の
国家責任を問う会