しんぶん赤旗 2016/11/04 4面【政治・総合】

シリーズ安倍政権下で進む基地強化

沖縄新たな「銃剣とブルドーザー」

辺野古・高江・伊江島一体で海兵隊強化

(上写真説明)市民らの前に立ちはだかる機動隊員=沖縄県東村高江


「銃剣とブルドーザーを想起させる」--沖縄県翁長雄志知事は「オール沖縄」の世論を無視して名護市辺野古の米軍新基地を推進する安倍政権をこう評しました


「銃剣とブルドーザー」とは、沖縄を占領していた米軍が1953年〜55年にかけて住民の土地を強制接収し、基地を拡張したことを指します


キャンプ・シュワブ沿岸部の辺野古新基地、北部訓練場の高江オスプレイパッド(着陸帯)、伊江島補助飛行場の着艦訓練場「LHDデッキ」の大幅拡張(地図)…。2014年以降、沖縄本島北部で進む新たな基地拡張増強は、伊江島を除いて機動隊や海上保安庁といった実力組織を用いて住民を弾圧しながら強行している点で共通しています


オスプレイF-35の拠点に

さらに重大な共通項は、いづれも侵略部隊・海兵隊の強化につながっている点です


土地の強制接収が続く最中の54年7月29日、当時のアイゼンハワー米政権は、本土に配備されていた海兵隊(第3海兵師団)の沖縄移駐を承認。海兵隊の基地として沖縄本島北部の民公有地が大規模に接収され、56年にキャンプ・シュワブ(現・名護市)、57年に北部訓練場(現・国頭村、東村)の運用が開始されたのです


以来、沖縄は米本土以外で唯一の海兵隊の拠点として強化され、ベトナム戦争湾岸戦争イラクアフガニスタンでの「対テロ」戦争への出撃・侵略拠点となってきました


今、進められている基地増強の狙いは、海兵隊をアジア全域で強化し、出撃能力のさらなる強化と基地の恒久化です


辺野古、高江、伊江島の基地強化はいずれも、米海兵隊の垂直離着陸MV-22オスプレイやF-35Bステルス戦闘機の配備・運用を前提にしたものです。米空軍の特殊作戦機CV-22オスプレイの運用も想定されており、これらの基地強化は一体で進められています


海からの侵攻能力強化狙う

さらに、(1)辺野古強襲揚陸艦が接岸できる軍港をつくり、エアクッション型上陸艇(LCAC)用の斜路をつくる(2)高江着陸帯のうち、地区から沖縄本島東海岸の訓練水域を結ぶ歩行ルートを建設する--という計画があります。海兵隊が海から敵地に侵攻する強襲上陸作戦能力の強化につながります


安倍政権はこれらを「基地負担の軽減」と称して正当化しています。実態は、世界的にも貴重な生態系を持つ沖縄本島北部のやんばるの森や辺野古の海を破壊し、沖縄を地球規模の侵略拠点として強化・恒久化するものにほかなりません


安倍政権は中国や北朝鮮の存在をあげ、在沖縄海兵隊を「抑止力」だとしています。しかし、在沖縄海兵隊の主力である第3海兵遠征隊(31MEU)は佐世保基地(長崎県佐世保市)の強襲揚陸艦隊とともに、毎年、1年の半分は海外展開しています。「抑止力」とは無縁の存在です


ただ、米軍は近年の戦争で水陸両用作戦を事実上、行っていません。「抑止力」どころか、火事場泥棒的な基地機能の強化が進められているのです


しかも、高江・辺野古の基地建設は日本国民の税金によるものです。新基地ノー・オスプレイパッドノーの沖縄のたたかいへの全国的連帯は、国民生活にも直結します


(地図)沖縄の米軍基地