藤井日逹 不殺生戒

不殺生戒

    藤井日逹



日蓮大聖人の御消息に曰く


有情の第一の財は命に過ぎず, 是れを奪う者は必ず三途[さんず]に堕つ

然れば輪王は十善戒の始めには不殺生

仏の小乗経の始めには不殺生

大乗梵網経の十重禁の始めには不殺生

法華経の寿量品は釈尊如来の不殺生戒の功徳に当つて候品ぞかし

されば殺生をなす者は三世の諸仏に捨てられ六欲天も此を守ること無し



現代地上に生きとし活ける人々は老若男女を問わず, 斉しく極度の不安と恐怖と苦悩とに閉されております. それは我等が最も大切とする身体生命が早かれ晩かれ一瞬にして灰となり煙とならんとする危険をひしひしと感ずるからであります


現代文明の基礎に打ち立てられたる近代国家その経営する政治経済外交軍備学問技芸等々はすべて人間全滅の罪悪すなわち殺生業道に奉仕し隷属せんがために進歩発達を怠らない状態であります宇宙時代が来たといっても人間の危険はそれに比例して倍増するばかりにして人間の危険を排除するには一向に役に立ちませぬ


世界の指導者が口を開けば平和を唱えながらその手には恐るべき殺人用の爆弾を握りしめております禍[わざわい]なるかな現代文明そは呪わるべき大悪魔王の正態であります