漁協幹部

僚船乗組員6人が会見 主なやりとり『見張り不十分』『自衛隊たるんでる』http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20080221/CK2008022102089230.html

2008年2月21日

行方不明になっている父子二人の捜索をしている僚船の乗組員六人が十九日夜,勝浦市の川津港で行った記者会見の主なやりとりは次の通り.


 ――事故の連絡を受けるまでの経緯は

きょう(十九日)の午前四時すぎ,前方からイージス艦とみられる船がきた. 回避しようとかじを切ると,その船がばっと明かりをつけた. 午前六時すぎに組合から「清徳丸が事故をやったみたい」と連絡があった. 清徳丸と連絡を取ったが,応答はなかったので現場へ向かった.


 ――その船が突然明かりをつけるまでは暗かったか

航海灯がいくつかついていた. また,清徳丸は港を出るときに電気を四つつけていた. 航海灯も船尾灯も全部つけていた. (イージス艦側は清徳丸が)赤い電気はついていなかったと言っているみたいだが,全部でたらめだ.


 ――衝突の危険を感じたか

衝突の危険性があるからかじをとった.


 ――衝突の原因はどのようなことが考えられる

原因は分からないが,二マイル以内に五隻くらい固まっていたと思う. 自分たちのレーダーで映るんだから,軍艦のレーダーには確実に映っていると思う.


 ――なぜイージス艦が船団を発見できなかったのか

見張り不十分だ.


 ――イージス艦のかじは

ほとんどまっすぐだったと思う.


 ――現場の状況と今までの捜索状況,見つかったものなどは

現場に着いたときは空が明るくなっていて,船が二つに分かれて流れていた. 仲間の船が(吉清治夫さんの)シルバーのジャンパーを見つけた. ほかに船に積んだ道具,寝るための布団を一枚拾った.


 ――ジャンパーを見つけたときの心境は

心境とかは何もなく,頭の中が真っ白だった. 事故に対しても感情が出てこなかった.


 ――自衛隊に言いたいことは

自衛隊はたるんでいる. 文句を言いたい. 自衛隊には本当のことを言ってほしい. うそをつかないでほしい.



清徳丸を見落としか 海自と説明食い違い漁協側が不信感 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008022202089476.html

2008年2月22日 朝刊

千葉県・房総半島沖で海上自衛隊イージス艦「あたご」が新勝浦市漁協=千葉県勝浦市=所属のマグロはえ縄漁船「清徳丸」に衝突した事故で,あたごと船団の航路の詳細が二十一日,同漁協が開いた会見で,明らかになった. 漁協側と海自側の説明は食い違い,あたごが清徳丸を完全に見落としていた可能性も浮上している. 外記栄太郎組合長は「真実をきっちりと伝えたい. 小型船と家族を奈落の底に落とした上に,現実と違う説明をする海自に大きな憤りを感じる」と強く批判. 海の男たちの怒りが渦巻いた.


外記組合長らは会見場で図を示し,事故前後の状況を説明. 現場にいた僚船の船長自らが,それぞれの行動を細かく解説した. 漁協側の証言は各船の衛星利用測位システム(GPS)に残る航跡が裏付けている.


漁協の説明によると,事故があった海域では幸運丸を先頭に,清徳丸,金平丸,康栄丸の順に四隻が南西に向かっていた. 一方のあたごは,船団から見ると左前方から,十数ノットの速度で直進しながら接近してきた.


幸運丸は十九日午前三時半,接近中のあたごをレーダーで確認. 衝突の恐れがあるため,あたごが約三キロに迫った同四時ごろ,右にかじを切って回避. その約五分後,あたごが自動車のパッシングのように探照灯を数回点滅. さらに一分後,艦全体の作業灯をつけて停船したのが見えた. 堀川宣明船長(51)は「私がイージス艦を最初に見た. 周囲の船に危険だと無線連絡すればよかった」と悔しさをにじませる.


清徳丸の約二キロ後方を進んでいた金平丸は,右にかじを切ってあたごを避けようとしたが,あたごが直進してきたため衝突コースから抜け出せず,続いて左に大きくかじを切って回避. この際,あたごからは(緑の灯火のある)右舷が見える位置関係になった. あたごはこの直後に,作業灯をつけて停船した. 市原義次船長は「あたごは自分の船を見て止まったのかと思った」と話す.


康栄丸は金平丸の左後方にいた. 同三時五十七分,レーダーに映ったあたごを発見. 左に大きくかじを切った金平丸が近づいてきたため,同じく左にかじを切り,あたごの右舷側を通り過ぎて停船した. 同四時九分,あたごが作業灯をつけたのを確認. 他船に「自衛艦だ」と無線連絡した. 中ノ谷義敬船長は「あたごがライトをつけたので,船を止められたと感じた. 『ばかにしてるのか』と電灯で船体を照らしたら,自衛艦だと分かった」と説明する. あたごは清徳丸以外に少なくとも三隻に確認されていた. 三隻とも右舷に緑色,左舷に赤色の法定灯火をつけていた. あたご側からは複数の赤灯が見えていたはずということになる.


僚船の船長らによると,灯火は天候にもよるが十キロ近く離れていても確認できるという. 船団は清徳丸を中心に半径三キロ程度の範囲内にいた. 漁協側は「あたごが見たという緑灯は金平丸のものだ」と主張. この場合,あたごは金平丸の前にいた清徳丸を完全に見落としていた可能性がある. 船長の一人は「あたごは清徳丸と衝突してから初めて外を見たのではないか」と,不信感をあらわにしていた.




http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-02-22/2008022214_01_0.html

海上自衛隊イージス艦「あたご」が衝突した清徳丸とともに出漁していた僚船の船長と漁協幹部が二十一日,千葉県勝浦市で会見した要旨は次のとおりです.


外記(げき)栄太郎・新勝浦市漁協組合長

海自は緑の明かりを一つ見たといっていますけども当時は結構な数の船が赤い光(左舷側)を見せながら走っていたはずであります. 緑の明かりは普通はないはずでございますけども,緑を見たというなら,金平丸があたごを危ないかなと取りかじ(左折)をとった. この金平丸の光を見たというのが連日の報道で自衛隊がいっていることだと思う.

問題はみんな赤灯をみせながらみんな走っているのにだね,あたごの見張りが十分であればね,こんな衝突は起こらないと思います. 十数人見張りがいたといわれていますが,それがまったくの見張り不十分,というのが事実ではないか.

相手はでっかい船なんだから開けろという考えがあるかもしれません. それはまったく間違いであって,海上衝突予防法からいって,あたごの方がでっかいですけども,「避航船」だったと思います.

僚船の先頭位置にあった幸運丸の堀川宣明船長 あたごを確認したのは,せがれとかじを交代した(十九日の)午前三時三十分. レーダーで確認した距離(あたごまで)は六マイル(約十一キロ)ありました. 南西に方向をとったが,このまま進むと衝突の危険があると,一番接近したのが一・五マイルですかね. その時間が四時ころだったと思います. 右に回避しまして,あたごの赤の左舷灯を確認できましたので,もとの方向に戻しました.

その五分後,いまとなってわかったのですが,あたごの船から探照灯ですか,パッ,パッ,パと光るやつ,それが四,五回出ました. 後方に走っていたと思われる清徳丸が衝突したのではないかと思われます.

(緑を見たあたごの証言はうそか)そうですね. 緑なわけがないと思います. あたごははるかに自分らより性能のいいレーダーを積んでいるわけなんですよ. それは十二分前に確認できたなんていうのは違うと思う. もっとレーダーをみていれば確認できたんじゃないですか. レーダーで確認後もあたごはまったくの直進で,進路を変えることもありませんでした.

いまとなっては後悔しているんですけど,後方の船にこういう船が来たよ,危ないよと無線連絡をしなかったんですよ. 一番後悔しているところです.


金平丸の市原義次船長

あたごの青(右舷の緑灯火)を見ながらずっと走っていて,前をかわそうと思ったがかわせないと思って左に舵(かじ)をとりました. コースを変えた直後,あたごの作業灯がぱっとついた.

大型船はレーダーは一基でないはず. 近くをうつすレーダーと遠くをうつすレーダーを持っているんで,三十分以上,一時間も前から,絶対に確認は取れるはずなんです. いわれるような時間帯で確認したのは,レーダーを見てなかった. あたごはほとんど舵を切っていませんから. へさきと両舷にたっていれば,漁船の明かりは絶対といっていいほど見えるはずです.

(要するに船乗り失格ということか)そうです.

大型船は,回避するのは時間がかかるわけですよ. だから小型船がよけてくれる,そういうような考えでいるんじゃないか.

(これまでも危険なことは)ありますね. 結局,こっちが(進路を保持できる)権利船であっても,当たる危険をいつでも持ってますから. (あたごは)全然みていなかったんでしょう. 監視体制が全然なかったんだと思います.

自衛艦は海のルールをふだんから守らないのか)そういう感じで思っている.