慰安施設の設置に関する内務省警保局長通牒

http://ianhu.g.hatena.ne.jp/bbs/6/10#p2 関連史料または 千葉市に住む82歳のKさんという方が訴える「進駐軍の相手をさせられた彼女たち」に関する若干の史料


外国軍駐屯地における慰安施設の設置に関する内務省警保局長通牒(無電) 1945/08/18 ==占領軍=連合軍相手の「慰安施設」準備が敗戦3日後に始められていることは,すでに内務省・警察・軍隊に「慰安婦」動員するシステムができていたこと/戦時中は占領地でそして敗戦後は列島内地で/を示唆していると著者=吉川春子は指摘している==

外国軍駐屯地における慰安施設の設置に関する内務省警保局長通牒(無電)[原文漢数字]


外国軍駐屯地に於ては別記要領に依り之が慰安施設等設備の要あるも本件取扱に付ては極めて慎重を要するに付特に左記事項留意の上遺憾なきを期せられ度.



1.外国軍の駐屯地及時季は目下全く予想し得ざるところなれば必ず貴県に駐屯するが如き感を懐き一般に動揺を来さしむ如きなかるべきこと.


2.駐屯する場合は急速に開設を要するものなるに付内部的には予め手筈を定め置くこととし外部には絶対に之を漏洩せざること.


3.本件実施に当りて日本人の保護を趣旨とするものなることを理解せしめ地方民をして誤解を生じせしめざること.


(別記)


外国駐屯軍慰安施設等整備要綱


1. 営業行為は一定の区域を限定して従来の取締標準にかかわらずこれを許可するものとす.


2. 前項の区域は警察署長に於いて之を設定するものとし,日本人の施設利用は之を禁ずるものとす.


3. 警察署長は左の営業については積極的に指導を行い設備の急速充実を図るものとする.


  1. 性的慰安施設


  2. 飲食施設


  3. 娯楽場


4. 営業に必要な婦女子は,芸妓,公私娼妓,女給,酌婦,常習密売淫犯者を優先的に之を充足するものとする.【出典:吉川春子『従軍慰安婦 新資料による国会論戦』あゆみ出版1997/11/01 pp.230 isbn:4751922106 『日本婦人問題資料集成第1巻』(ドメス出版) 各都道府県史/各都道府県警察史=引用者未確認】

しんぶん赤旗 2006/04/29 終戦直後,米進駐軍慰安婦を政府が募集したって本当? http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-04-29/2006042912_01faq_0.html



138国会 参議院決算委員会 20061996/11/26 *1

[193] 吉川春子君 日本共産党の吉川春子です.


官房長官に質問をいたします.


女性に対する暴力の撤廃について,国際的な認識そして取り組みはかなり前進してきています. 我が国でも十年前は概念すら余りはっきりしなかった. 知られていなかったセクシュアル・ハラスメントについて,予防禁止措置をとることの合意ができつつあります.


昨年,北京で開かれました第四回世界女性会議で採択された行動綱領でも,

女性に対する暴力は,平等,開発及び平和という目標の達成を阻む障害である. 女性に対する暴力は,女性による自らの人権及び基本的自由の享受を侵害するとともに,これらを減じ,又は無にする. 女性に対する暴力の問題における上記の権利と自由の保護・促進に対する長年の怠慢は,あらゆる国家の懸案事項であり,対処が必要である. 女性に対する暴力とは,起きる場所の公私を問わず,女性に肉体的,性的または心理的な障害もしくは苦しみをもたらすおそれのある家庭内,職場,教育機関,地域などのいかなる形態の暴力行為をも包含する

として,女性に対する暴力の類型を詳しく挙げて撤廃を求めています.


日本ではこの行動綱領を受けて今年じゅうに国内行動計画が策定されますが,その基盤となる男女共同参画ビジョンで次のように指摘しています.

女性に対する暴力は,女性の生活に恐怖と不安を植えつけ,女性の活動を束縛し,自信を失わせ,平等の達成を阻み,開発・平和の障害となっている.

我が国においても,NGO等の取組によって,女性に対する暴力の実態が次第に明らかにされつつある. また,過去において女性の名誉と尊巌を深く傷つけたいわゆる従軍慰安婦問題への反省に立った. 内外の女性に対する暴力の撤廃に向けた取組も必要となっている.


この観点から,政府は女性に対する暴力の撤廃に向けて積極的な対処をすべきだと思いますが,官房長官,いかがお考えですか.


[194] 国務大臣(梶山静六君=内閣官房長官) 今,第四回世界女性会議の行動綱領にある内容を引用していろんなお話がなされましたけれども,女性に対する暴力,それは確かに女性の人権そのものに対する侵害である,そういう認識のもとに,これからも人権擁護上も看過できない問題であるというふうに認識をいたしております.


ですから,これからも国民の間にこれらの暴力を容認する風潮がありとすれば,残念ながらその根底には女性の地位を男性よりも低く見るという習慣,風習があるのではないか. 私はそういうことはなくなりつつある,むしろ場合によってはそ
の逆とすら思える節も世の中にたくさんあるという気がいたします. それは私の身を振り返ってそういうふうに主観的に申し上げるのかもしれませんが,私はそういうことは断じてないと思いますし,またあってはいけないことでありますから,そういうものに対して,これからはすべての社会を通じて対応をしていかなければならない,このように考えております


[195] 吉川春子君 行動綱領では「起きる場所の如何を問わず,国家が犯し又は許す肉体的,性的及び心理的暴力」も類型の一つとして挙げています. 国家が女性に対して犯した暴力,これが従軍慰安婦問題ですね.


そこで伺いますが,いわゆる元従軍慰安婦に対して支払った金額と,そのうち国庫からの支出金は幾らですか.


[196] 説明員(平林博君=内閣官房内閣外政審議室長兼内閣総理大臣官房外政審議室長) お答え申し上げます.


従軍慰安婦の関係につきましては,女性のためのアジア平和国民基金ができまして,それに対して国庫から補助金を出しております. 平成七年度におきましては四億八千百万強,それから平成八年度につきましても同じく四億八千百万強でございますが,この中からは元従軍慰安婦に対するいわゆる償い金は出しておりませんで,これは女性のためのアジア平和国民基金の活動費,あるいは先生が今問題になされた女性への暴力も含めました女性の名誉と尊厳の問題に関するいろいろな普及啓発活動等への補助金ということでございます.


ちなみに,元従軍慰安婦の方々の一部に償い金が支給開始されましたが,これは国民からの募金でございます.


[197] 吉川春子君 国庫からは一円も払っていない,こういう御答弁でした.


政府は,一九九〇年ごろまでは従軍慰安婦への関与すら否定していたわけですけれども,その後,資料が出てきたりいたしまして,関与を認めるという官房長官の談話を発表いたしました. この問題については最後に伺いたいと思います.


警察庁あるいは内政審議室に伺いますが,この政策は敗戦後も引き継がれて政府は同様のことを行っているわけですが,日本政府の日本兵のための慰安所経営の政策,これは敗戦後,アメリカ軍の日本進駐に伴って,今度は米兵に対して日本女性を提供するという政策につながったわけですね.


米占領軍進駐の一週間後の昭和二十年九月四日付で発せられた. 内務省保安課長から警視庁特高部長,大阪府治安部長あてなどの「米兵ノ不法行為対策資料二関スル作*2」について,この資料を知っていますね. 慰安所の設置についてどう書いてありますか.


まず,公文書館の方から,そういう資料はありますか.


[198] 説明員(関根康文君=国立公文書館次長) 公文書館でございます.


御指摘の米国からの返還文書でございますが,昭和四十九年の一月に当館で移管を受けまして,以後公開にいたしている,こういう状況にございます.


[199] 吉川春子君 警察庁,そこに米兵慰安所の設置について書いてありますね. ちょっとその部分だけ,一行でいいですから読んでください. 警察庁です.


[200] 説明員(山本博一君=警察庁長官官房総務審議官) 今,先生御指摘の文書につきましては,当庁においては保管いたしておりませんので,お答えいたしかねるところでございます.


[201] 吉川春子君 保管いたしていないということとこういうものが出されてあるということと別でしょう. 公文書館で保管しているんですが,警察に関する資料だから読んでくださいというふうに申し上げたんですけれども,お読みになれないようなら私が読みましょう.


その資料の「対処策」に「婦女子強姦予防トシテハ」という「い」のところに「米兵慰安所ヲ急設スルコト 進駐決定セル時ハ付近適当ナル場所二慰安所ヲ急設スルコト」云々と,このように書かれています. *3


これは九月四日なんですけれども,それよりもっと前に,敗戦のわずか三日後,昭和二十年八月十八日に発せられた外国軍駐屯地における慰安施設に関する内務省警保局長通達,この内容を読んでください


[202] 説明員(山本博一君) ただいま御指摘になりました文書につきましても,御指摘があり調査いたしましたが発見されず,警察庁におきましては保管をされていないものと考えておりますが,引き続き調査を行っているところでございます


[203] 吉川春子君 もう二週間以上探しているんですよね. 土,日も出て探しているということですが,これはなくしたんですか


[204] 説明員(山本博一君) 鋭意探しておるところでございますが,発見には至っておりません.


これは,戦後,内務省が解体され,警察制度が根本的に改革されました上,新たに警察庁が設置されたものでありまして,これらの経緯からいたしまして,御指摘の文書につきましては公式に引き継ぎがなされておらないことによるものと思われます.


[205] 吉川春子君 これは自治省が戦後,内務省の解体ということで「戦後自治史」,自治大学校が昭和四十年代に発行している本なんですけれども,ここにこの書類は全部警察庁に移管してありますと書いてあるんです. あなた方が発行した本なんですよ.


それによりますと,内務省が崩壊しまして,昭和二十三年三片に内事局は新しい警察制度の発足に伴って国家公安委員会にその所管事務を移管して,国家地方警察本部及び国家消防庁がその事務を処理することになったと. 司令部のマーカム少佐は,内事局廃止に伴う指示を出し,政令内務省解体,その機能及び職員の処置についてはっきり規定すること,そして職員がどういう方面に分散し書類がどこに移管されたか明示すること,さらに職員と書類は一緒にしてはならないと指示を出しているんです. あなた方の資料で私は知りました. それでもないと言うんだったらば,なくしたんですか,隠しているんですか.


[206] 説明員(山本博一君) 今,先生が御指摘になりました昭和二十六年一月十六日付の文書につきましては私どもも承知しておるところでございますが,この内容はあくまでも昭和二十三年当時の警察法に規定された国家公安委員会の所掌事務の範囲内において内事局第一局から国家公安委員会に事務の移管がなされたことを意味するものと考えられます. したがいまして,既に廃止されました御指摘の制度等につきましては,国家公安委員会に引き継がれようもありませんし,また引き継がれておらないということでございます.


[207] 吉川春子君 うそを言わないでください. あなた. この本を読んだことがありますか. この本にちゃんとそういうふうに書いてあって,そういう指示がなされていると書いてあるんですよ. この本を読みましたか. ちょっとそれだけ,読んだか読まないかだけ. あなたが読みましたか.


[208] 説明員(山本博一君) 二十三年一月十六日付の文書については……


[209] 吉川春子君 読んだか読まないかだけでいいです.


[210] 説明員(山本博一君) その本は読んでおりません.


[211] 吉川春子君 ここにその書類をどこにやったか政令で決めなさいということもちゃんと書いてあるし,そしてきちっと処置するように司令部の指示が出ているわけです. それで,私たちは警察大学校にあるというあり場所まで教えてあげたでしょう. それでもない,ないと言うのは,官房長官,本当にこれは非常に文書管理が悪いですよ. そして,アメリカに接収された文書は,さっき公文書館が認めたように四十八年に戻ってきて公文書館にあるんですよ,太平洋を往復して. ところが,日本にずっとあるその通達がなくなっちゃっていると. あるいは隠しているのかもしれません. そういう態度で従軍慰安婦関係の書類も一切警察は出さないんです. これはまことにけしからぬことだということを私は厳しく言っておきます.


それで,私が伺いたいのは,その通達に基づいて各県警が米兵に対する慰安施設を設置し,いろいろなことをやっているわけですね. そういう事実があるかどうかちょっと確かめてもらいたいというふうにお願いしておきましたけれども,どうでしたか,警察庁.


[212] 説明員(山本博一君) 先生の御指摘は,各県の警察史の中にそのような記述があるということかと存じますが,各県の警察史のそれぞれにつきまして私ども承知はしておるところでございますが,各県警がそれぞれ独自に作成したものでありまして,警察庁としては何らの関与も行っておらないところでございます. したがいまして,これらの内容につきましてはコメントする立場にはないと,こういうふうに考えておるところでございます.


[213] 吉川春子君 私,各県の警察の歴史を,これ幾つか,重いですからその一部を持ってきております.


それで,例えば埼玉県の県史あるいは「さいたま女性の歩み」にはこう書いてあります.


敗戦から三日後の八月十八日,内務省警保局長は,各庁府県に対して,「外国軍駐屯地における慰安施設について」という無電通牒を発した. 占領軍慰安施設として各県の警察署長は,性的慰安施設,飲食施設,娯楽場を積極的に設定整偏するようにという通牒である. その際,営業に必要な婦女子は,「芸妓,公的娼妓,女給,酌婦,常習密売淫犯者等を優先的に之に充足すること」と指示した.


この占領軍対策は,「一般婦女子を守る」防波堤であるといわれたが,同じ日本の女性の一部を占領軍兵士に向けて公用慰安婦として日本国政府が施策化したこと,しかも,業者の搾取の自由を保障したことにおいて,これほどの女性の人権蹂躙はあり得ないことであった.


こういうふうに書いてあります.


それから,こういう職務に当たった現場の警察官の声も紹介しておきます. これは「広島県警察百年史」に書いてあります. 四百十四ページにこういう記述があります.


連合軍の本土進駐にあたり,国民がもっとも心配したのは「婦女子が乱暴されるのではないか」ということであった. 閣議においても種々論議が重ねられ,八月十八日には警保局長から全国警察部長あてに「占領軍に対する性的慰安施設の急速な設営を実施すべき旨」指令した. まことに残念なことであるが,占領軍人に対する性的慰安施設を設営するという,いわば幇間まがいの仕事を警察がせねばならなかったのである. 当時の警察官の苦衷,屈辱感まことに察するに余りがある.


警察署保管の旧娼妓名簿から前職者らの住所,氏名を調査し,彼女らの住む山村あるいは漁村に向かって面接勧誘するとか,あるいは現役の娼妓,芸妓,酌婦,密売いん者等,かつては取締対象者であった彼女らに対して,外人相手の復職を頼んで回るとかしたもので,このようにつらい思いで勧誘した要員五〇〇人を,ようやく九月末日までにはそれぞれの場所に送りこむことを得,米軍主力部隊が到着した十月七日を期して営業が開始される運びとなった.


こういうことについて,一切知らない,通達もなくした. こういうことであなたは責任逃れできると思いますか.


[214] 説明員(山本博一君) 広島県警の警察史にそのような記述があることは承知いたしているところでございますが,先ほども申し上げましたように,戦後,内務省は解体されまして,警察制度が根本的に改革され,新たに警察庁が設置されたものでありまして,警察庁といたしましてはお答えする立場にはないものと考えております.


[215] 吉川春子君 官房長官,こんなの通達なくして現場の警察がやったとすれば余りにも重大だし,しかし,これだけいろんな警察の歴史に全部出てくるんですよ. それをあずかり知らないことだなんて,そんなこと許されないと思うんです.


官房長官にお伺いしたいんですけれども,言ってみれば日本の恥ずかしい部分ですね. 白日のもとにさらしたくない部分です. しかし,やっぱりこういうことも明らかにして,今,これはよくなかった. こういうことをやったのは正しくなかったと,そういう反省すべきときに来ていると思いますけれども,官房長官,この点についてはいかが感想をお持ちでしょうか.


[216] 国務大臣(梶山静六君) 残念ながら,今までそういう記述や話を伺う機会がございませんでした.


委員の言うことが全部であるか一部であるか,それは私は定かにできませんが,やはり昭和二十年というあの混乱期を考えると,確かに悲しい,それから主権を持っていない日本の一つの縮図ではあった. もしもそれが全部そうだとしても,私はその時代の警察官を責めるわけにはいかない. そういうものが占領軍の名においてなされたのかどうか,これは残念ながら定かにする手段,方法を今私は持っておりません. 私なりに勉強してみたいと思います.


[217] 吉川春子君 占領軍がやったんじゃないんですね. 日本政府がやったんです. 現場の警官がやったんじゃありません. これは政府がやらせたんです. だから今,勉強したいとおっしゃるので,官房長官,私はその言葉に期待します. ぜひ調査して,こういうことに対してきちっとしていただきたいと思うんです.


それで私は,同時に官房長官,もう一つお伺いしたいのは,米兵に対する性的慰安施設も国の政策として行われたわけですが,従軍慰安婦の問題についても,これは関与したというふうに官房長官談話は言っているんですけれども,私は,関与という言葉は非常に不適切だと思うんですね. 現地の軍がちょっと先走ったとか,民間業者がやったことに思わず政府も協力してしまったとか,そういうようなニュアンスが関与という言葉にあるんですね. 犯罪で言えば従犯的なニュアンスがあるんですけれども,私はまさにこれは政府の戦争政策遂行の一環としてこの従軍慰安婦の政策がとられたんじゃないか,ここが非常に重要だと思うんです.


官房長官談話が発せられ,それから一部資料も出されましたけれども,一つは,今政府の御認識が,やっぱり政府の政策として遂行されたという御認識に達しているのかどうかということを伺うのと,それからもう一つは,その後韓国にも行かれいろいろ調査もされているんですけれども,談話以降正式な発表はないわけなんです. だから,こういう問題についてやっぱり政府はその後調べて,従軍慰安婦に対してどの程度の問題まで明らかになったのか,その点について公表していただきたい. その二点についてお伺いしますが,いかがでしょうか.


[218] 国務大臣(梶山静六君) 平成五年に河野官房長官の談話で,いわゆる関与という,単なる関与ではなくという御指摘がございますが,関与という言葉を使っていることを承知いたしております.


私は当時のことを,これは全く推測でありますが,私が事実の調査官ではありませんから推測をいたしますと,千差万別の形態があったのではないのかなと推測をいたしております. しかし,一部にそういう関与があったという認識のもとにその後いろんな補償問題というか,そういう問題に対する慰労金その他の措置を懸命に民間で考え,また政府が援助をするというか助長をするというか支援をする,そういうことをとっているという現実を御認識いただければ御理解がいただけると考えます.


詳細については室長の方からお答えをいたします.


[219] 説明員(平林博君) 官房長官の答弁を補足させていただきますが,平成五年の官房長官談話のもとになりました調査結果によりますと,いわゆる従軍慰安婦についての慰安所の設置,管理及び慰安婦の移送に関しては,軍が直接あるいは間接に関与したということが判明いたしましたので,それに対応する施策をとってきたということでございます.


その時点では誠実に調査した結果で発表させていただいたわけでございますが,今後,調査を閉じたということではございませんで,事柄の性質上いろいろと後から出てくることもあろうかと思いますので,その点については政府としては関心も持っておりますし,外政審議室の方からは,関係省庁に対しまして,新たな資料が発見された場合にはぜひ知らせてほしいということも依頼しているところでございます.


[220] 吉川春子君 官房長官,千差万別の形態であったであろうということはそうだと思うんです. しかし,それが国策としてなされたのかということなんです,私が伺いたいのは.


それから,外政審議室が資料を今後提出するということじゃなくて,調査結果を政府の言葉で,調査してこういうことがわかりましたということを発表してくださいということなんです. 官房長官,その点,済みません,もう一度お願いしたいと思います.


[221] 国務大臣(梶山静六君) 私が千差万別と申し上げたのは,地域や時代,それによってそれぞれ異なったことが行われたのではないのかなという推測を私がいたしたために千差万別という表現を使っております.


その表現方法が悪いかどうかは別といたしまして,時代によっては国ないしは軍が関与を全くしない場合もあったろうと思います. それから,敗戦近くなってだんだんそういう関与度が強まったのではないかという推測もいたすこともできます. そういうことでありますから,私は具体的な年次を追った別の,あるいは地域を追った別の詳細な調査というのは今にして行うことが全部できるのかどうなのか,そのおそれはあるけれども,今せっかく努力をしながら,特に,事外国の問題に関しては全力を挙げてやっているというその事象を御認識いただきたい,このように思います.


[222] 吉川春子君 時間なので,終わります.


=参考リンク=


アジア歴史資料センタ http://www.jacar.go.jp/


[件名][衛生業務旬報 混成第14旅団司令部]自昭和7年9月24日至昭和8年12月10日
【レファレンスコード】A03032171600【画像数】512

djvuファイル176「第1回芸娼妓検黴成績 1933/04/16」,189-190「第2回芸娼妓検黴成績 1933/04/23」,202-208「混成第14旅団芸娼妓酌婦健康診断実施要綱 1933/04/28」など.



藤永壯 http://www.he.osaka-sandai.ac.jp/~funtak/shoukai.htm

日露戦争と日本による「満州」への公娼制度移植 http://www.he.osaka-sandai.ac.jp/~funtak/papers/nichiro/index.html

植民地朝鮮における公娼制度の確立過程-1910年代のソウルを中心に http://www.he.osaka-sandai.ac.jp/~funtak/papers/seoul/index.html



しんぶん赤旗 2007/04/13 「従軍慰安婦」での米議会報告指摘/全段階で日本軍が関与 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-13/2007041306_01_0.html

しんぶん赤旗 2007/04/18 「慰安婦」問題/強制性示す新資料/研究者ら公表 東京裁判で証拠採用 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-18/2007041802_05_0.html



レイバーネット 2007/04/17 日本の心臓部で広がった「慰安婦」問題糾弾の声 http://www.labornetjp.org/news/2007/1176865497721staff01

1) 日本の心臓部で広がった「慰安婦」問題糾弾の声 (聯合ニュース)
2) 日本の教授 「慰安婦連行の本体は日本軍」 (京郷新聞)
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*4はまた,「河野談話が後退することがあてはならない」としながらも,「しかし,河野談話には慰安婦
連行した主体に関する言及がないので,これをより明確にする必要はある」と強調した
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*1:http://kokkai.ndl.go.jp/ 国会回次"138",発言者"吉川春子"で詳細検索

*2:引用者注:「米兵ノ不法行為対策資料ニ関スル件」アジア歴史資料センタ レファレンスコードA06030039200

*3:引用者注:正しくは"(ハ)米兵慰安所ヲ急設スルコト" アジア歴史資料センタ レファレンスコードA06030039200 djvuファイル 16/21

*4:吉見義明中央大教授