過去は水に流す*2あいまいな日本*3の未来志向??

そして死刑宣告された彼のこの文章には、後年の共産主義教育を受け自らの軍国主義的犯罪を認め減刑を受け帰国してきた戦犯達とは明らかに違う強いメッセージ性があると思いました【木走日記 2006/08/08■[戦争]日本国民に告ぐ。日本男児の血の叫びを聞け。〜「百人斬り競争」野田元少尉の手記 16:19 via id:kemu-ri/20060809/ 太字強調は原文のまま】


共産主義教育を受け自らの軍国主義的犯罪を認め≫と≪犯罪を認め減刑を受け≫ることは別のことなので要注意.*1


撫順監獄の戦犯容疑者が自分の犯罪を認めようとせずがんばった経過*2については,鵜野晋太郎『菊と日本刀』(谷沢書房 1985/06/20)の下巻を参照されたい.


特別軍事法廷[1956/06/19]最終結論部分

…以上述べたところを総合してみれば…各被告人は日本陸軍のそれぞれ異なった身分をもって日本軍国主義がわが国を侵略した戦争に参加し,しかも,すべて重大な犯罪をおこなった戦争犯罪者である.その犯罪行為からすれば,いずれも国際法の規範と人道主義の原則を公然とふみにじっておりもともと厳罰に処すべきが当然であるが,しかし,本法廷は,各被告人が拘留期間中,程度の差こそあれ悔悟の態度をあらわしていることを考慮にいれ,各被告人の犯罪の具体的な情状にしたがい,ここに『日本が中国を侵略した戦争中における戦争犯罪者で目下拘留されているものの処理に関する中華人民共和国全国人民代表大会常務委員会の決定』の精神とその第一条第二項の規定にもとづき,各被告人にたいし,それぞれ,つぎのとおり判決を下すものである…


(1)被告人 鈴木啓久 禁固20年に処する

(2)被告人 藤田茂 禁固18年に処する

(3)被告人 上坂勝 禁固18年に処する

(4)被告人 佐々真乃助 禁固16年に処する

(5)被告人 長島勤 禁固16年に処する

(6)被告人 舟木健次郎 禁固14年に処する

(7)被告人 鵜野晋太郎 禁固13年に処する

(8)被告人 榊原秀夫 禁固13年に処する


…以上の各被告人の刑期は,判決の日より起算し,判決前の拘留日数一日は刑期一日として算入する. この判決は最終判決である【鵜野晋太郎『菊と日本刀』(谷沢書房 1985/06/20)下巻p.272-274より抜粋引用】


判決の後,ふたたび被告人たちは傍聴席被害者関係遺族証人の怒りと抗議に向き合うことになる.


N少尉*3の場合も法廷で被害者関係遺族と向き合うこともあったはずだが,死刑判決の後で しか≪切実なる平和希求の精神≫を持つことはできず,加害者家族が被害者関係遺族と向き合うことが出来なかったのは,日本の不幸なのであろう すら≪切実なる平和希求の精神≫しか持てなかった*4.

*1:K氏≪後年の共産主義教育を受け自らの軍国主義的犯罪を認め減刑を受け帰国してきた戦犯達≫というのが,具体的に誰を/どのような言説をさしているのかはわからないが

*2:法廷の前に 目撃者=容疑者の上官または部下=の証言集め/被害者の証言集めと並行して容疑者本人による『認罪』が求められ,容疑者本人はもっともやばい部分を隠し通そうとした

*3:終戦時は中尉以上のはずだが

*4:08/10 訂正