キャンプ・パーマ(船橋市)


近く日本に返還される予定だが射撃演習による耕作制限の補償は未だ片付いていない. 地元の申請額は300万円だが,米軍側はこれを証拠立てるものがないとして受付けないので,このまま立消えになる公算が大きい




以上が基地問題のあらましだが,海上の漁業補償と一部の陸上補償を除いてはほとんどが未解決のまま残されている補償の他,[買]売春,長欠児童,ヒロポンなどの諸問題が基地の周囲に山積みしているのを考えれば基地対策はまだまだというところだろう. 「米軍基地に関する限り,国ですらもてあましているのだから,県の行政で処理出来ない」との見方がある. 例えば豊海や嶺岡の補償が難航しているのは補償法そのものの不備によるもので,これは県政以前の問題だというのだ


しかし,たとえ基地問題が県の手に届かないところにあるにしても,国の施策の不備が元で地元民が苦しんでいるとすれば,これを地元民の側に立って中央に訴えるのは民選知事として当然の役目に違いない. ところでこのつとめを柴田県政は十分果たしているかどうか. 補償問題が起るたびに知事はじめ県首脳部は何度か東京通いを行って解決に努力してきた. 特調や外務省を動かして現地調査を行わせたことも数回,にも拘わらず地元民の周囲には問題が山積みしている. 住民側の要求に一貫性がなく住民側の責任もあろう. しかし中央に対する県の折衝態度に自主性と積極性を欠いていたのも大きな原因とみられる「陸上補償の要点が法の不備にあると承知しながら何故県はこの欠陥を改善するよう積極的に働きかけないのか」という声も聞かれるのである



米軍基地に加えて最近は防衛庁が茂原,香取郡干潟,千葉市若松町などの旧軍飛行場に目をつけて値踏みを始めたため各地で基地反対の火の手が上がっている. かりにこれが実現すればキャンプ・パーマを除いて米軍7,自衛隊5(既設2)計12基,各郡に基地一つということになり,軍都千葉が完全に復活するわけだ. これまでは地元からの要求はあっても米軍側から圧力は直接には県にかからなかった. 軍備と県政との間に多少の距離がおかれていたため,再軍備の改進党と再軍備反対の社会党が共に与党であってもそれほど問題にはならなかった. しかしこれからは違う. 再軍備の波は県民の足元にひたひたと押し寄せている. 県が住民の要求と同時にこれ以上強い圧力を防衛庁から受けるのは必至とみられる. 官選知事なら問題なかろう. しかし民衆の多数の支持によって生まれる新知事がこれをどう処して行くか,次期県政に託された課題は限りなく大きい


[千葉県地図]

記号

★米軍基地…柏通信基地,白井航空基地,船橋無線基地,豊海実弾射撃演習場,木更津航空基地,富津防潜網,嶺岡レーダー基地

自衛隊基地…習志野,館山

自衛隊基地候補地…下志津,茂原,香取郡干潟


[記事終り]