『日本読書新聞』No.369(1946/11/13 2面)

去月中旬各方面の絶大な関心と期待の注視の中に新生日本の基調ともいふべき新歴史教科書が「くにのあゆみ」として誕生したが,この「くにのあゆみ」はこれを以て満足すべきものではなく,なほ修正改良すべき幾多の問題を残していることは勿論であり,特に歴史そのものの重要性と且つ従来のものを全面的に書き換へてある点からその教授に当つても慎重を期すべきで文部省では各学校宛に「指導要綱」「教授指針」を発附し,また東京都でも帝大,文理大等へ国民学校教員を研究生として派遣する現状に鑑みて実際に国民学校の児童に接しこれを教育する立場にある人々から,新教科書がまだ難解の極みがあるといふ声に即応して


■如何にして児童に最も分かりやすく理解させるべきか


■児童が各所に抱くであらう疑問を如何にして氷解させるか


■どの程度に教科書以外の事項を教示すべきか


■これらのためにはいかなる参考書を読んだらいいか


等に関して「くにのあゆみ」編纂にたづさはつた東京高師教授家永三郎氏に訊くことにした