□追加


1. 軍装品を如何に処理するか


武装解除等を考慮し最小限一揃のものを存置し,他は後日嫌疑の因を成さざる如く仕末するが可なり


2. 書類は如何に処理するか


答 官私を問わず機密,極秘,秘密,秘,部外秘等は速やかに完全焼却するを要す,典範令等は随意処置するものとす



3 軍隊手牒は如何


答 将来恩典事務に関係あるに依り各自保存するを可とす



4. 恩給扶助料は如何なるか


答 支給額,年限等は制限を受くることがあるかも知れぬが全然無くなることは無いと思はれる



5. 俺の息子(夫,兄弟)は無駄死した…等の問に対し…


答 謙虚な態度を以て一応先方の話をよく聴いてやり諒解せるものの如く首肯し,あなたの息子(夫,兄弟)さんが忠誠御奉公して下さつたので日本の国体を護持し得たのです,決して決して無駄死等をなさつたのではありません,戦死された息子さんの忠義の御心に対して無駄死などと申しては申訳が有りませんぞ……


どうぞ御心を沈められて此の度の天皇陛下の大詔を拝み戦死された息子さん方が無駄死にならない如うに一生懸命務に励みませう,私も生き残つて生き恥をかいている様な気がするのですが全てを忘れて陛下の御命令に絶対髄順全力を尽くして新建設に邁進する覚悟であります



6. 敵進駐後婦女子に対し暴行することは無いか


答 無いとは言はないが敵の司令部等に於ては必ずや軍紀,風紀を取締まる機関等があると思ふ


若し暴行を迫られたならば断じて日本婦人の面目を損せざる如く敢然死を以て抵抗し彼等に「日本婦人犯し難し」の感を深刻ならしむべきである



7. 敵進駐を黙つて見ていられるか


答 我々は大詔に拝する通り忍び難きを忍び軽挙妄動することなく隠忍自重せねばならぬ


若し軽挙妄動するが如き事あらば却て彼等に乗ぜられ無益の苦痛を国民に加重するのみならず新建設の阻害ともなるのである



(帝国在郷軍人会山前村分会「来翰発翰綴」1945年 足利市役所所蔵)


出典: 『栃木県史/史料編19 近現代3』p.845[*1]


*1:原文の片仮名,漢数字を平仮名,算用数字に改めた