若干の敗北主義的分子に対する決定と宣言 日本共産党中央委員会

全党員諸君! 全国の労働者農民兵士諸君!


資本家地主の軍事的警察的天皇制支配は最近益々凶暴の限りを尽くしている. 米と土地を要求し, 政治的自由のために闘争する労働者農民兵士は直ちに逮捕監禁され, 迫害拷問され, 屡々[しばしば]虐殺さへされている. 敵の攻撃は就中[なかんずく]我が党の及び革命的諸組織に対して集中されている


昨年10月30日以来, 我が党に対して計画的に且つ矢継早に下された検挙の手は, 我が党の優れたる指導者, 戦闘的同志の多数を奪い去った. だが, 敵の死物狂ひの攻撃も尚我が党を破壊し去ることは出来なかったことは勿論, 重要なる党機関に対して殆んど云ふに足る打撃を加へることさへ出来なかった. 我が党中央部は厳然と存在して強力なる指導を行ひ, 吹き荒ぶ白テロの嵐の中に党中央機関紙『赤旗』の発行は続けられ, 同志岩田義道の虐殺に対する抗議闘争は全国的に組織化され, 人民大衆の間に於ける我が党の影響力は却って拡大され, 強化された


初期の目的を達し得なかったばかりでなく, 却って反対の結果をさへ激成したことに狼狽した天皇制政府は, 今度は更に陰険且つ陋劣なる手段によつて我が党指導下の大衆の間に不安と動揺とを巻き起こし, その混乱に乗じて組織を摘発し, より大規模なる第二第三の検挙を準備しようとしている. 階級敵の魔手は, 既に, 我が党の最も弱き環, 小ブルジョアイデオロギーの抜けきらぬ動揺分子不活動分子を捉へた. 党中央部の潰滅, 党機関へのスパイの潜入等々の敵の宣伝に乗ぜられた動揺せる不活動分子の一団は, 故意に連絡を断ち, また切断された連絡の恢復に努めず, 最も重大なる時期に闘争を抛棄して後退した. これ等の同志達の意図がよし一様に悪意に出発したものでなかつたにせよ, その行為は客観的に見て許すべからざる階級的裏切りであることを否定することが出来ぬ. これ等の同志達の或者は党中央委員会の指導を切断し拒否したばかりでなく自ら『国際共産党日本支部日本共産党中央委員会』の名を濳称して1932年12月24日附を以て『赤旗』号外なる愚劣極まるプリント刷り一小檄文を発表し厚顔にも『赤旗』編輯局及び印刷局を以てプロヴァカートルによつて占領された組織なりと称し『大工場大経営の労働者の手による』再刊の美名にかくれて僭越にもこれ等重要なる党機関の解散を命じ, 而もこれより前, 党中央委員会の指導の下に階級敵の凶暴なる包囲攻撃の真只中に発行された『赤旗』第109号及び第110号の配布を阻止し, 最も重大な時期に党中央委員会の指導を妨害した. かかる行動は, 全く階級敵, 資本家地主的天皇制政府の軍事的警察的支配に協力せるものであり, 労働者農民の利益を裏切る反革命的行為である. 我が党員大衆並びに階級意識ある労働者農民諸君が, かくの如き陋劣なる陰謀によつて欺瞞されなかつた事は勿論, かかる解党派的傾向に対する断々乎たる処断を要求して起ち上がった. 革命的労働者農民の反革命的傾向に対する階級的憤激と我が党中央委員会の革命的伝統に対する絶大なる信頼とは, 我が党中央委員会をしてかかる偏向を急速に粉砕し, 党組織及び党機関を階級敵の利用から奪還することを可能ならしめた. この反革命的陰謀に無意識的に加担しそれによつて我が党中央委員会の指導から一時切り離されていた同志達は, 既にその重大なる政治的過失を中央委員会の前に認め, 党中央部の方針に対する絶対的服従を誓つている. ここに於て党中央委員会は, 事件の一切の経過を明かにすると共に以上の偏向を犯したる同志達に対して改めて厳重なる警告を発し, 指導的立場にあつた左の四名に対しては次の如き処断を決定す


【1】藤原こと××はその組織者としての地位を利用して敢えて党中央部の名を濳称し, 勝手に党組織の解体を行ひ, 党機関の解散を企てたる行為により党籍より除名する


【2】同志○○及び□□は, 党の重要なる地位にあり乍ら党中央委員会の指導を離れて××の反革命的行動に参加したる行為により, 将来再びかかる行為を繰返す時は, 即刻除名すべきことを警告して厳重なる譴責処分に附し, 併せて現職を罷免して中央委員会が新に任命する部署について即刻活動すべきことを命じる


【3】同志△△は中央委員会の警告に従つて直ちに以上三名と行動を分つたとは云へ, 中央委員会の正しき方針の遂行に於て多くの遺憾なる受動的態度を示したるを以つて厳重なる譴責を申し渡す


同志諸君!!全国の革命的労働者農民及び兵士諸君!!


階級戦士としての諸君の英雄的行動と我がレーニン主義的中央委員会に対する支持とは, 我々をして一切の偏向, 一切の逸脱的傾向に対して断乎たる闘争を開始し, 階級敵の陰謀を粉砕することに成功せしめた. 併し乍ら闘争は勿論これで終わったのではない. 資本家地主的天皇制政府の軍事的警察的攻撃は益々凶暴, 陰険かつ破廉恥の度を加へている. 我々は如何なる敵の猛襲にも耐へ得る真にボルシェヴィキ的に聳固化された党を建設せねばならぬ. 組織的に大工場, 大経営, 農村及び兵営を基礎に強化すると共に, 明確な革命的理論, 即ちレーニン主義的に統一された政治方針なくしては, 一切の偏向を克服して階級敵の軍事的警察的天皇制支配の転覆のための闘争を有利的に遂行することは出来ない. 如何なる場合にも全党員は一人の如く組織されると共に, ただ一つの頭脳, コミンテルンの日本支部日本共産党レーニン主義的中央委員会の方針によつて動かねばならぬ. 中央委員会の方針は遅滞なく最下位の一細胞員にまで伝達され, 党の各組織, 各機関を通じて全日本の労働者, 農民及び一般勤労大衆の間にそれぞれ必要なる具体化を以て徹底されねばならぬ


全党員諸君!! 同志諸君!!


我が日本共産党は, いはゆる潰滅に瀕せる大打撃のその翌朝に於ても直ちに勝利的発展に向つて発足することを常としている. 3・15, 4・16, 2・26等の苦難なる試練は疑いもなく我が党のボルセヴィキ化の拍車として強力に作用した. 併し日本の革命運動の根は深く, 大衆の革命的エネルギーは無尽蔵であり, 我が党の革命的生長力は旺盛である. 全党員は我が中央委員会の指導の下に, レーニン主義者としての確信を以て, 米と土地と自由の為の大衆闘争の先頭に起ち, 帝国主義戦争反対, 軍事的警察的天皇制打倒, 労働者農民の政府樹立のための人民革命の勝利のために英雄的に活動せよ!!


日常闘争を通じて一切の反革命的傾向を粉砕せよ!!


日本共産党のボルセヴィキ化万歳!!


コミンテルン万歳!!


1933.1.15


日本共産党中央委員会


続く⇒id:dempax:19330320【『赤旗』No.127(1933/3/20)「同志××同志□□に関する処分を解除す」 『赤旗』No.131(1933/4/1)「処分解除に関する決定」】