『赤旗』No.61(1931/12/23)


[白石書店復刻版 II-p.155]

『決定』に忠実たれ!!直に婦人部活動を開始せよ!!

(無署名)


赤旗59号の中の一節『…の同志の最大の欠点の一つは, 党とコミンテルンとの決定に服さない点だ. と云つて勿論意識的に服すまいとするのではない. むしろその反対だ. 自分で服さうと決心しているつもりでも客観的に現実に服しているとは限らない. 応々にして服していない場合があるのだ.『決定』に対して真剣さが足りないのだ…』と云ふ以上の文章を, 全党員諸君がどういう風に具体的に読まれたかを知りたいと思つている


ところで, 全国の党員諸君, この文章を裏書きする様な問題がここにある


我党は, コミンテルンの決定及びプロフィンテルンが第5回大会に於てなした, 日本に於ける労農婦人の組織の重要さと, 婦人勤労大衆獲得のための独自の形態と方法の創設に就いての指摘を正しく理解し, 今春, 先ず中央部に婦人部を設置し, 以来何回となく赤旗紙上及び第二無産新聞紙上に於て, 勤労婦人獲得の闘争を, 組織的に, 強力的に展開するために, 党の各地方,地区, 都市, 各細胞の指導部は婦人部(或は責任ある一人の婦人オルガナイザー, 男女いづれにても可, 兼任にても可)を直に設置しなければならない事, 其の他我党の婦人活動にとつての基本的, 必須的問題に就いて提案し, 実行を要求したのである. これに就いて若干の同志の間で討論が行はれたが, 一般には行はれなかったらしい(報告が来ていない)そして今日に至るも一つの地方委員会, 一つの都市委員会, 一つの地区委員会, 一つの細胞にも婦人部はおろか, 一人の婦人オルガナイザーさへ出来ていない(中央部には之等に就いての一つの報告も来て居ない). 遺憾ながら『決定』に対する態度は, この問題の限りに於て, 真剣でなく,忠実でなかった


赤旗紙上に現れる党中央部の提案や決定は婦人部設置の問題でも, 又その他の問題でも, 凡て, 一つとしてその場限りのいい加減なものや, 気まぐれで書かれたものではないのである. それは必ず一つ残らず実際に行はれなければならないものなのである, そして, その全部が全党員の責任ある実行活動に掛つているのである


『指導機関の婦人部さへ出来ていない!』と云ふ中央部の言葉が『余りにせつかちだ』と云へるだらうか


『直ちに婦人部を設置せよ』と云ふ要求が出来ない相談の無理な問題だらうか


否だ. 我々は決して出来ない相談や, 無理な問題を持ち出してはいない. 中央部は未組織の所へ婦人部を作れといつているのではない. 一応確立されている指導機関に, 婦人部(或は責任を持つた一人の婦人オルグ, 男女いづれにても可, 兼任にても可)を作れと云つているのだ. この簡単な易しい問題はない筈だ, 又我々は決して『せつかち』でもない


我々は今日, かつて知られなかつた程重大な時期, 戦争と革命の時期にあるのだと云ふ事を忘れてはならない. 我々は今, 実に急速に労働階級の決定的な大多数を党の傘下に獲得し, 組織しなければならないのだ. 今日に於けるその成功不成功は来るべき決定的時期に重大に作用している. プロレタリア, 農民階級以外の労農婦人と云ふものはない. 同様に労働者, 農民の組織問題以外の労農婦人の組織問題なんてものもない. だから『婦人部はあとまわし, 他の部が充実してから』なぞ云ふ態度は絶対に誤りである. それ等の同志は『日本の工業に於ける婦人の割合は何処に於けるよりも高く, 日本の条件に於て婦人の組織を放棄することはブルジョアジーに奉仕することを意味する』と云ふことを活字や統計の上では知つていても実際には理解していないのである


地方都市郡村や各細胞の指導機関に働いている党員諸君は直に其処に1名乃至 2,3名からなる婦人部を作るべきである. 全協,全農,労働組合革命的反対派やその他の大衆団体内やその下部組織で活動している党員諸君は, その各々の指導機関の婦人部に所属されるべき婦人オルガナイザーを選定して直に婦人を組織すべく実際の活動に着手すべきである. 党婦人部の独自的組織活動と党の活動一般との諸関係に就いては赤旗第53号の論文をこれと合せてよく読まれたい



婦人部の構成と党活動との関係


【1】1名乃至 2,3名(数名出来れば尚結構だ)で作られた婦人部内に一人の責任者を選定する. これは, 選挙でなく, 委員会から指名される. この婦人部責任者は, その委員会, 例へば, 地方委員会の婦人部責任者は, 地方委員会の委員であつて, 地方委員会の総ての会議に出席して, そこの全般的な活動に参加している. そして婦人部の活動に就いての全責任を負つている. その他の同志は, 婦人部員として, 婦人部のすべての具体的活動に色々な活動を受持つてたづさわる. 中央,地方,都市,村,細胞等の各委員会の婦人部はこの如くに作られる. 勿論, 責任者及び部員とも, 男女いづれでも良いのである. 唯, それが婦人の同志で構成されたら特に良いのである


【2】此等の婦人部の全活動は常に党の指導機関の指令下に行はれる. 例へば, 地方委員会の婦人部は中央婦人部の指導下に, 地方委員会の諸決定に従つて, 地方的領域の全婦人活動を指導し, その直接下の関係にある婦人部に指令して活動する


婦人部の独自の組織活動は常に党組織部との完全な, 緊密な協定と協力の下に行はれる. 例へば, 地方委員会の婦人部が, 未だ婦人部の出来ていない都市や地区の委員会の受持ち圏内の工場に手をつけ様とする時地方委員会婦人部は, 直接責任地位にあるその都市, 或は地区の指導部の組織部と協定し協働する. 地方委員会婦人部は何よりも先ず下の指導機関に婦人部を作る事を指令しなければならない


婦人部の独自の組織活動による成果は, 凡て党の組織部へ渡される


【3】中央部及び各地方や各都市や地区の指導機関の婦人部は, 或は一定の活動(例へば, 色々なカンパの時, 婦人代表者会議の時, ストライキ等)に際して, その直接下の指導機関の婦人部を指導し, 援助しなければならないと同時に, 未だ党活動のない地方へは, 近接地の指導機関の婦人部はその未確立地方の労農婦人間の活動の展開の為に特別の婦人オルガナイザーを派遣しなければならない. 特に中央や地方の婦人部は, 常にかかる場合に充分留意しつつ未組織・未活動方面, 特に婦人労働の重要地に於ける近接地の婦人部を指導しなければならない


婦人オルグはすべて婦人部員であると同時に党組織部員或はその指導下に働いている組織員でなければならない



【4】中央及び地方委員会婦人部は, 一定の工場(婦人労働を主要なものとする重要企業, 特に未組織の場合, ストライキをやつて居る場合)に於ける労農婦人の組織に対しては党のその地方,その地区の組織部との協定の下に婦人部は独自的に直属の婦人オルグを配置して労働婦人の組織に対して, 中央及び地方婦人部自ら, 責任をもつて当り, 模範的活動となる様に, 進んで党全体の活動の強化のために積極的に活動しなければならない


これ等の活動の成果は当然党の組織部へ集中されるものである


【5】中央及び地方,都市,地区,村等の委員会は, その各々の婦人オルグが経験を交換し, 又この活動を党によつて統制し, 指導するために, これ等の委員会は婦人オルグを招集して, それぞれの地域の規模に於て, 小委員会(婦人組織会議)を定期に招集する, 又中央,都市,地区,村等の婦人部は地区や工場の婦人オルグを招集して, それぞれの規模で小委員会を定期に招集する



【6】以上の様な労農婦人間の婦人部の活動の方針問題は, すべての党の指導機関で決定される. そして婦人の間の仕事については, 下級機関から上級機関までの凡ゆる関係(AP,組織部,農民部,共青係,労働組合部,失業者部等の)に於て討論されねばならない


又, 中央及び地方, 地区等の委員会の議事日程に婦人問題が常に定期的に持ち出されねばならない



【7】婦人間の全活動の成果及び次への活動の方針や決定を婦人部は, 党中央婦人部へ定期的に報告せねばならないのである


同志諸君は直ちに, 婦人部の責任者と, 当面の活動方針, それから具体的活動の一部始終を中央部に報告しなければならない. そして, これは以後定期的に行はれねばならない. これは党生活者の鉄の規律である


党は, 婦人間の活動についての党の諸方針を出来るだけ急速に, 第二無産者新聞か, 赤旗か, 何かの方法で発表するであらう


我々は「中央でやかましく言って来るから, とにかく作った」と云ふのではなく, コミンテルン, プロフィンテルンの決定の正しい理解の上に, 作られた強力な活動能力を持つた『』の報告がどしどし来ることを期待している (完)